第5弾「アートで目覚めるvol.3」作家インタビュー:西太志

ART OSAKA2015 企画展「アートで目覚める vol.3」の作家インタビューも今回で最後となりました。 京都市立芸術大学の大学院で油画を専攻された西太志さんのインタビューです。インタビュアーは ART OSAKA 実行委員の森裕一さん(MORI YU GALLERY)。現在の制作スタイルにいたるまでのお話などを伺いました。

京都市立芸術大学作品展 展示風景 / 2015

京都市立芸術大学作品展 展示風景 / 2015

M:今年、京都市立芸術大学(以下:京芸)の大学院を卒業されたんですよね?

N:はい。

M:2年間どうでした?それまでは違う環境にいたんですよね。

N:元々は大阪芸術大学で学んでいました。大学院に入る前は紙に透明水彩で描いていました。映画が好きなので映画のワンシーンとか小説や漫画からイメージしたものに影響を受けていて、男の子が森にいて土を掘っているような光景であるとか、物語に出てくるようなイメージを描いていました。

M:紙に?

N:はい。大学院の入学前は誰に見せるでもなく狭いスタジオの中に一人で、制作していてすごい小さな規模で描いていたんです。それが大学院に入って、広い空間で描いた時に説得力がないなという感覚があって、素材とかモチーフに対してどういうアプローチをしていこうかと考えるようになりました。そこから板やキャンバスに描くようになったり、絵具も油絵具、アクリルなどを試していました。最近は、水性アルキド樹脂(アキーラ絵具)で描くようになりました。

M:2月の作品展はほとんどそうだったよね。

N:そうですね。水性アルキド樹脂は、透明水彩に近い感触もあるけど、油絵具やテンペラにも似ていて、 その触感が自分にしっくりきました。

M:描くのは早い方ですか?

N:水彩の時には、30号くらいで2ヶ月程かかっていました。絵の内容にもよりますが、今は同じくらいのサイズでも3日から7日程度で描くので前よりは格段に早くなりました。使う絵具の違いもありますが 、以前は構図を完璧に決めて描いていたんです。水彩は色も綺麗で構図も明確なので、絵としてのバランス は取れていたのですが、それがすごく表面的に見えてしまい、自分の中で求めているものと離れているように感じるようになりました。
そこから離れるために、身体性や即興性、物質感といったものに着目して描くようになったことが今の作品に繋がっています。

西太志

西太志

M:誰か影響された人はいますか?

N:2月の作品展で一番影響を受けたのはスペイン画家のフランシスコ・デ・ゴヤ(以下:ゴヤ)です。彼の「黒い絵」と呼ばれるシリーズに影響を受けていました。 ゴヤは宮廷画家として活躍していたのですが、「黒い絵」はその時とは違って当時の時代情勢や、自分の内面に迫った部分が描かれているんです。 しかもそれらの作品はゴヤが自分の家に飾る為に制作された絵なんです。そういった所にも惹かれて、自分も今の状況を切り取るような作品を描きたいと思い、作品展では意識していました。 見方によっては冒険しているようにも見えるし、別な視点からも見ることができるという点を自分の中では大事にしています。

M:フロイトの概念で不気味なものは家や日常の背後(裏側)にあるというのを聞いた事があってね。なんとなくそれと繋がるかなと思ったんですけど。

N:すごく自分の考えに近い事を言ってもらえた気がします。

〈立体の作品について〉

M:もう一つ気になったのは作品展で立体がありましたが、あれも絵画と同じようなコンセプトで制作しているのですか?

N:立体(陶芸)は、よりドローイングに近い感覚で制作しています。大学院 1 回生の夏休みの期間に、中学校でレジデンスをする機会があったんですけど、スタジオは大学にもあるのでいつものように絵を描くのは面白くないなと思って。 たまたま中学校には電気釜があって粘土も提供してくれるという話になったので、立体を作ってみようと思いました。丁度素材の変換というのも試していた時期だったので、いい機会でした。そこから、立体と絵画の関係も考えるようになりました。

M:粘土はやってよかった?

N:よかったですし、面白かったです。レジデンスの成果発表として展覧会があったのですが、家庭科室を使って、場所の特性もふまえて初めて立体のみで展示をしました。それが自分の中ではすごく絵画的な空間になったと感じていて。インスタレーションだけど自分の絵画の世界に近いというか。構図とか置き方も絵画のモチーフの配置に近くて、良い経験になりました。

M:作品展でもそれに近い事を言っていたよね。オブジェの置き方も絵画との関係を考えながらって。

N:はい。展示空間に入って全体を見た時に、絵画的空間に近いようなイメージで立体の配置をしています。一つの立体が複数の絵画と繋がっていくというか、絵画と現実を繋げる境界の役割として重要な作品になりました。

ART OSAKA 実行委員:森裕一(MORI YU GALLERY)

ART OSAKA 実行委員:森裕一(MORI YU GALLERY)

M:絵画と立体と両方見たときに、立体はつくりはじめたばかりなんだなという印象があって、一瞬違和感がありました。でも、後で作品を思い返した時に、西君の作品の部屋はすごく印象に残っているんです。それで、なんでなんだろと考えたときに、結局あのオブジェが効いてるんだなと。もっと作ればもっと立体がよくなるんじゃないかなという気がしたんです。でも「オブジェはまだこれからなんやろな 」というギャップは後で考えたらそれなりに面白くてね。それが揃ってくる時にもっと面白い相乗効果が生まれてくるだろうという気はしました。

〈絵の中の人物〉

M:西さんの作品には人物がよく出てきますが、あれは自画像なんですか?それとも自分とは違う他者なんですか?

N:自分の中で自画像なのかなと思った事もあったんですけど、やっぱり違うと思っています。誰かと言われたら、誰にでも当てはまるようなイメージとして客観的にも見ているし。でも自分に近い存在でもあるとも思っています。

M:それは、自分でもあり他者でもあるということ?

N:そうですね。

M:ちょっと前の作品で「鳥使いの沐浴」という作品がありましたが、あれもおもしろかったんだけど、具体的にどのような作品なんですか?

鳥使いの沐浴 / 2012

鳥使いの沐浴 / 2012

N:あれは透明水彩の頃に描いていたものです。前の年に 3.11 の震災があって、水を使う作品は慎重に扱おうと思っていたんです。でもそこからどうしても逃れられなくて、一枚は描こうと残した作品です。自分の中ではとても大事な作品です。

M:あれは他の作家からイメージを得たりしてる?

N:オフィーリアです。

M:人物の向きが逆になっていましたが、それは何か理由があるの?

N:一応その時は同じ方向にはしたくないと考えていました。オフィーリアは綺麗な作品だけれど、内情は彼女が狂ってしまって自殺してしまうという絵だったと思うんです。自分の作品はそうではなく「鳥使いの沐浴 」というタイトルで、死を連想させるだけではなく、生者の姿にも見えてほしくて、あまりグロテスクな部分だけが出ないように意識していました。

M:人物を描くってすごく難しいけど、描く作家はいっぱいいるでしょ。人物はおもしろいですよね。

N:そうですね、確かに。 僕は絵描きも好きですが、でも『人物』を描くというより、人物と場との関係というか現実と虚構が入り混じった 『場所』に興味があります。映画に影響を受けていて、中でもデヴィッド・リン チ監督の作品が好きなんです。特に「ブルーベルベッド」や「ツインピークス」には影響を受けました。人物の描写だけでなく、撮影される場や不穏な空気感など、観る側に委ねている部分が多い所も好きです。それもさっき森さんの仰っていた日常の背後の話とか、リンチの作品にはそういうところはあるかなと。 あとはコーエン兄弟の「ファーゴ」とか、事故などのふとしたきっかけで日常が変わってしまうという表と裏の関係に興味があります。

〈ART OSAKA について〉

M:展示する部屋は見に行きましたか?

N:はい。ホテルの中での展示ってなかなか出来ないので、難しそうだなと思いました。

M:あんまり気にせず、自分の思うようにやったらいいと思います。何をだすの?ペインティング?オブジェ?

N:両方だそうと思っています。ベッドが沢山あるので、それを活かして立体や絵画を配置しようかと。まだ考え中ですが大きめの絵画も新作を制作しているのでそれも展示したいです。

M:間違いなく言えるのは関西のキュレーターがちゃんと見に来るから。人の目に触れる確率は非常に高いと思います。見ている人はすごく見ているからね。自分を出せる展示が出来るように頑張ってください。

N:はい、頑張ります。ありがとうございます。

インタビューを終えて

インタビューを終えて

1983 大阪府生まれ
2006 大阪芸術大学 芸術学部 美術学科 絵画コース 卒業
2015 京都市立芸術大学 大学院 美術研究科 修士課程 絵画専攻 油画 修了
〈グループ展歴〉
2014
油画修士前期展 (京都市立芸術大学油画制作室/京都)
作品中!(ギャラリー16/京都)
2013
LOCA 展(京都市立芸術大学 油画制作室前廊下/京都)
AUTUMN HURRICANE(京都市立芸術大学大ギャラリー/京都)
超京都 2013 特別展示〈暗黙知〉(平成の京町家モデル住宅展示場 KYOMO/京都)
洛美展(京都市立洛友中学校/京都)
NATURAL SMELL(京都市立芸術大学油画制作室/京都)
2012
Äkkigalleria 17 –In the Earth, In the Sky(Äkkigalleria/ユヴァスキュラ)
Alkuluku -Japanese contemporary Art to Raahe(Galleria Myötätuuli/ラーへ)
〈受賞歴〉
2014 京都銀行美術研究支援制度 選定

編集 / 鈴木香澄(ART OSAKA事務局)

コラボカクテル、7月1日(水)より販売開始します!

いよいよ来週7月4日(土)に開幕する「ART OSAKA 2015」。それにあわせて、ホテルグランヴィア大阪では「ART OSAKA 2015」限定宿泊プランを販売しております。

その宿泊プランの特典のひとつが、コラボカクテルです。グランヴィア19階にあるバー「SANDBANK」のバーテンダーの方にご協力を頂き、「ART OSAKA 2015」のロゴマークとテーマカラーをイメージした、美しいカクテルをつくって頂きました。色とりどりのフルーツが輪の重なりを表現、グレープフルーツをベースとした爽やかな味わいで、夏にぴったり!うーん、おいしそう!

ART OSAKA 2015 オリジナルカクテル photo:待夜由衣子/Yuiphotop

ART OSAKA 2015 オリジナルカクテル
photo:待夜由衣子/Yuiphotop

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コラボカクテルは、7月1日(水)~5日(日)の5日間限定で、1850円にて販売いたします。ART OSAKAにご来場くださったお客さまは、会場にて設置しておりますクーポンにて、コラボカクテルを20%オフの1480円にてお楽しみ頂けます。(クーポンではほかに、ホテルの飲食料金が10%オフになります)

夜景も美しいバーで、フェアの余韻に浸りながら、素敵な時間を過ごされてはいかがでしょうか?

宿泊プランではほかに、限定トートバックやギャラリ―ガイドブックの特典がついております。まだ空きがございますので、ART OSAKA目的の方はもちろん、大阪観光をお考えのお客様のお申込み、お待ちしております。事務局一同、自信をもっておすすめいたします!

『SANDBANK』URL:http://www.granvia-osaka.jp/restaurant/top.php?i=7

宿泊プラン:http://www.granvia-osaka.jp/stay/plan/detail.php?i=184

text:川西遥(ART OSAKA事務局)

トークイベント「あらたなる抽象絵画論ーイメージと空間」を終えて

さる6月21日(日)15時〜大阪府立江之子島文化芸術創造センターにて、ART OSAKA 2015関連トークイベント「あらたなる抽象絵画論ーイメージと空間—」を開催いたしました。40名強のお客様にご来場頂き、誠にありがとうございました。

本イベントは、フェア期間中におこなう特別展「反撃!抽象絵画」に向けてのプレイベントという位置づけで、いま抽象絵画にはどのような可能性があるのか、本展キュレーターの加藤義夫氏をモデレーターとして、出品作家のうち5名、木村秀樹氏、東島毅氏、北𡌛吉彦氏、中川佳宣氏、寺島みどり氏にお集り頂き、ともに語って頂きました。

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まずは、加藤氏からの趣旨説明と、それぞれの自己紹介から始まりました。ひとえに抽象絵画といっても、問題意識や制作テーマはそれぞれ異なっています。

たとえば東島氏は、屋外で作品を上向きに設置し、雨が降ったあとの水たまりや積雪をも作品の一部とするような、スケールの大きな作品を数多く制作されていたり。

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北𡌛氏は一見同じような表面のものでも、よくよく見れば異なる素材やかたちの重なりでできている、という面白さを、一色の絵具をつかいながら、パターンで描き分けておられたり。

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紅一点の寺島氏は、当初の鮮やかな色を用いた作品から、出産などを経験されたことで「色に頼る」ことを考え直し、グレーを用いた作品に移行したり。

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答えのない(作家の数ほど答えのある)テーマではありながら、「イメージと空間」というテーマでの討論会では、木村氏から版画と絵画の関係性についてや、中川氏から枯山水など見立てを古くから取り入れてきた日本人独自の「見る力」が、日本の抽象絵画の根本にあるのではという発言があり、とても興味深いものでした。

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限られた時間のなかでもっともっとお話を聞きたいと思ってくださった方もいらしたかと思いますが、ぜひフェアに足を運んで頂き、特別展「反撃!抽象絵画」を目撃頂ければ幸いです!

text:川西遥(ART OSAKA 事務局)

第4弾「アートで目覚めるvol.3」作家インタビュー:天牛美矢子

ART OSAKA2015企画展「アートで目覚めるvol.3」の出展作家インタビューも4人目となりました。京都市立芸術大学の染織を専攻されていた天牛美矢子さんへインタビュー。インタビュアーはギャラリーノマルの山田将也さんです。バックグラウンドや、制作に対する姿勢などを伺いました。

私たちは種を蒔く / 2015

私たちは種を蒔く / 2015

〈作品展の印象 – 作品のコンセプト〉
Y:天牛さんの作品は、去年の作品展でみていて印象に残っていたんですよ。それで今年もみて「あっ繋がったな」っていう感じだったんです。京都市美術館の中で、圧倒的に強く感銘を受けました。作品と天牛さん自身の個性がすごいマッチしているようにみえたんです。
T:嬉しい、ありがとうございます。
Y:そういうところから、まず作品を作るにあたってベースになるようなところが気になりました。
T:そうですね、いつもベースになっているのは、日常生活です。作品はファンタジックな様相をしているものが多いんですけど。実際には、私が日々を過ごす中で様々なものを見て感じて消化できなかった思いを、更によりよく見ようとしたときに作品が出来るんです。わからない物に対して仮説をたてるように物語を作ったり。いつも悲しい感情がベースになっていることが多いですね。悲しいってなった時に、その感情の中で不安になって日々を過ごしていくんじゃなくて、それをより消化していくことで、自分の前に進むきっかけにもなる。それでできたもので周りの人になにか示唆するようなものをつくっていけたら、といったことを思いながら作っています。
Y:すごいポジティヴなイメージ。
T:そうなんですよ。ネガティヴ派生のポジティヴなところにいけたらいいなって。感覚としては、ブルースを歌うような気持ちに近いです。
Y:強い思いはある中でも淡々とつくっていくっていうような感覚なんですね。
T:そうですね。
あとは歴史とか、個人の記憶とかっていうところからイメージが派生しています。ここのところは焚書をテーマにしています。
2月の作品展のものは、最近の世の中の情報規制に対することだとか、個人的な、私と私の曾祖父母の記憶とかっていうものが混じってできたものです。
Y:自分の経験だけじゃなくて、関わりのある人の記憶と繋がっていくようなイメージなんですね。
T:そうですね。あの作品は「私たちは種を蒔く」っていうタイトルだったんですけど、ひとつひとつのモチーフに物語があって文章を書くような感じで作品をつくっていました。
Y:昨年の作品展は青い旗に星座のようなイメージがありましたね。

熊を追う話 / 2014

熊を追う話 / 2014

T:そうですね、あの時はアメリカインディアンの星の神話からきていて。そこから色々派生してつくった作品だったんです。言いたいことをどこまで作品に言わせるのかみたいな葛藤があった中で、割とスンッてまとまってできて。これはこれでまだまだですが結構気に入ってます。
Y:すごいきれいにまとまってるという言い方は失礼なんですけど。
T:いや、でもまさにそうでした。まとめすぎた自覚はありました。
Y:それで、去年に比べると今年はもっとむき出し感がとても強い印象がある。
T:そうですね。

〈大学での先生や同期の友人〉
Y:先輩や学校の先生からの影響はありますか。
T:ありましたね。私の先生は、いわゆるファイバーアートの作品を作ってきた方だったんですけど、染織の研究もすごくされていて。ゼミで布にまつわる歴史とか、使われてきた背景とかをたくさん教わることがありました。後は同じゼミに入る子達が、割と尖った感じの子が多くて影響されあっていました。
Y:それはやっぱり京都市立芸術大学(以下、京芸)ならではなのかな?
T:それもあると思います。京芸って、根が真面目な人がめちゃくちゃ多いんです。
でも先生達自身が、「私らが作った作品より、趣味や仕事で作った人のやつの方が面白かったりするよね」みたいな風に垣根無く言っちゃう緩さがあったりして。そういう場所で、作品を作ろうとしていく子達は変にかまえていないスタンスの人が多かったです。芸術だから偉い、工芸だから偉い、趣味だからダメとかそういうことでは考えていなくて、だから楽しめた部分はあったのかな。

〈ご実家のお話〉
Y:バックグラウンドについてお伺いします。ご実家が古本屋さんということを聞いたのですが、子供の頃から本に囲まれて生活してきたのですか?
T:もうまみれてました。本店が下にお店があって上に自分の家っていう造りなんですけど。小さい頃とかは好き放題にしていて児童書の一角で座り込んでいたりしました。

インタビュー風景 右:山田将也(ギャラリーノマル) 左:天牛美矢子

インタビュー風景 右:山田将也(ギャラリーノマル) 左:天牛美矢子

Y:一般で売られるものだけではなく、古本界のマーケットの中を行ったり来たりするようなすごい歴史あるものとかも実はいっぱいあるんですよね?
T:そうですね。本の他にも本の中に当時の広告とか、手紙とか。あとは、昔の軍の徴収が来た時の徴収令であったり、めずらしい紙媒体がまぎれていることもあります。他にも家の整理をしてほしいみたいな時に、昔の家族のアルバムとかも目にする機会があって。知らない人の生活を垣間みている感じだとか、色んな人の記憶のエネルギーみたいなものに刺激されます。

〈これまでの展示のお話〉
Y:これまでの展示経験について聞かせてもらっていいですか。
T:個展をしたのはKUNST ARZTさんが初めてでした。4回生の時に私院浪していて、最後の作品でどうしよう、ってなっていた時に、声かけていただいたのが岡本さん(KUNST ARZT代表)だったんです。あとは、学部を卒業して共同スタジオに1年だけいました。その時の先輩が私以外全員油画で。その時に油画の人達の作品作りの思考回路を深く聞くことがあって、すごく刺激になりました。

〈ART OSAKAに向けて〉
Y:ART OSAKA に向けてなにかイメージはありますか?
T:そうですね、2月の作品展から話が繋がっていて、もう少し掘り下げていこうと思っています。
ホテルの宿泊場っていう、それこそ人がよく訪れる記憶のイメージであったり、人の気配のする空間っていうのには興味があって。今出したいなって思っている要素と、あの場所での展示をどうするかっていうところをもうちょっと詰めていこうと色々考えてるところです。
Y:ホワイトキューブでの展示とは異なるから、どう見せるか色々考えないと難しいとは思うけど。
T:まだぼんやりとしていますが。これからですね。

〈今後のビジョン〉

Y:これからどういうイメージで作品制作を続けていこうと思っていますか?
T:作品をつくることでなにかメッセージを発信したいっていう部分があるので、きちんと発表していきたいなと思っています。展示をしていくことで自分がどういうものをつくれるのかっていうのをみていきたいですし。
でも今は卒業して実家を継いでいこうと思っているので、その中でどれくらいの頻度でつくっていけるかは分からないけれども、たくましく作っていきたいなと思っています。
実家の古本屋で働いている中で作品にも影響が出てくるかもしれないですし。
実際に、この間の作品で一部本を使っていたり、あとは最近、長谷川由貴さん(2014年「アートで目覚めるvol.2」出展作家)とドローイングと文章をメインにMOTELっていう名前でZINEをつくったんですよ。そんな感じで作品の形態や別の表現の形として出てきているなと思います。

MOTEL vol.00

MOTEL vol.00

Y:色んな形態っていうのはきっと可能性を広げる上で重要でしょうね。伝えたいことやつくりたいイメージっていうのがはっきりしていたら別に表現の方法はなんでもいいとは思うので。
T:そうですね。どのような手法が自分に一番向いているのかっていうのはまだ探ってる途中だと思いますし。革などをよく使いますが、ああいう素材はとても好きだけれど、自分が出したいと思うメディアとは異なるのかもしれないという可能性を常に考えて、ちゃんとステップアップを続けれるようにいたいなっていうことは思っています。
Y:楽しみにしています。
T:ありがとうございます。

インタビューを終えて

インタビューを終えて

〈天牛美矢子略歴〉
1989年 大阪生まれ
2012年 京都市立芸術大学 工芸科 染織専攻卒業
2013年 同大学、大学院入学
2014年 ロンドン、Royal College of Artの、Visual Communication専攻に交換留学
2015年 京都市立芸術大学 大学院修士課程工芸専攻染織 卒業
〈個展歴〉
2014 『Field work/Yonder』ギャラリーKUNST ARZT、京都
2012 『WANDERLUST』ギャラリーKUNST ARZT、京都
〈グループ展歴〉
2014 “From one Island To another Island Then my Island” Hockney gallery, ロイヤルカレッジオブアー ト、ロンドン
Art Osaka 2014 アートでねむる、アートで目覚める ホテルグランヴィア大阪 ”Collection/Connection-マヤ、アンデス染織につらねる新しいカタチ” ギャラリー@KCUA
2012 ”Window Jack Project” 新風館、京都

編集 / 鈴木香澄(ART OSAKA事務局)

第3弾「アートで目覚めるvol.3」作家インタビュー:藤田紗衣

ART OSAKA2015企画展「アートで目覚めるvol.3」の出展作家へのインタビュー第3弾は京都市立芸術大学で版画を専攻された藤田紗衣さんです。学部を卒業されて同大学院へ進み現在も制作を続ける藤田さん。独自の制作方法のお話や、作品に対する思いなどをインタビュアーの加藤義夫さん(加藤義夫芸術計画室/ ART OSAKA実行委員)に存分に引き出していただきました。

u2 / 2015

u2 / 2015

〈作品展の印象〉

加藤(以下:K) 作品展を拝見してその中で僕自身、藤田さんの作品を選んだんですけど、新しいイメージを持った作品だなと思いました。これらは版画ですか?

藤田(以下:F) シルクスクリーンを使ってはいます。白い部分が紙に板目のイメージを刷ったものです。(トップ画像作品)

K:あ、そんなに複雑な事を。

F:茶色い部分が本物のベニヤ板です。紙にシルクスクリーンで板目の質感を刷って、ベニヤ板にそれを貼って。本物の板と自分が作った板の質感を隣り合わせたり、ベニヤ板をくりぬいて押し出したりして。その上に文字のイメージを刷っています。

K:聞いてるけど全然分からへん(笑)

F :(笑)

〈版画への興味〉

K:版画に決めた理由は何でしたか?

F :最初は油画専攻に行く気で京都市立芸術大学(以下、京芸)を受験しました。でも入ってから版画専攻があることを知って。1回生と2回生で違う専攻を選んでから本専攻を決める制度だったので、せっかく2つ選べるしと、軽い気持ちで1回生の時に版画専攻に進みました。その時に教わった事がすごく面白くて。難しくて何にも上手く出来なかったんですけど、版画の考え方や技法にものすごく惹かれてしまいました。次に当初の予定通り油画を選択したのですが、版画専攻で学んだ事は心の隅にずっとありました。

K:その時は版画で何をやったの?

F:木版画とシルクスクリーンです。2つだけやって油画専攻に進んで、また版画専攻に戻ってきた感じです。

K:では版画って言うのはかなり魅力的な表現媒体だったということ?

F:はい。凄く新鮮で。今までは直接紙に描く事しか無かったので。版を介して作品を作るとか同じものがいっぱい出来るとか、版画の考えを立体にしている先生もいて。そういう考え方で周りの景色を見ているとあれも版画かもしれない、これも版画かもしれないと見えてきて面白いなと。

K:版画と言えるかどうか分からないような。立体も全部版画っていうところまで作品を落とし込むと何でもありやね。
藤田さんのスタイルとしては版画をどういう風に思ってるの?

F:シルクスクリーンに特に興味があって、最初は紙に自分で考えたイメージを刷って作品を作っていたんですけど、それだけじゃ物足りなくなったというか。最近はエディションがある作品じゃなくて、一点ものの作品を制作しています。

K:せやね、僕が見た時は版画と思わなかったもん。版画という領域で勉強してきたけど、そういうことは抜けちゃってるというか。色んなメディアがあるから、自分の表現で、立体に行くかもしれないけど今は平面的な絵画の領域に興味があるんやろなと。
藤田さんは、版画という領域を選んでるんだけど違うんだろうなっていうような自由なところにやっと来たかなって思います。

F:私はものの形に興味があって、最近は文字や記号の形が面白いなと思っています。自分が見ているものを違う形で再認識したいという気持ちがあります。

K:再認識というとこがあるんやね。何故そこに興味を持ったのか、それを見てみたいと思ったのかという動機をもう少し詳しく話してもらえますか?子どもの頃の事とか。

F:子どもの頃からよく近所をうろうろ散歩していたんですが、そのとき単純にものを見るのが面白くて。景色を眺めて目で建物と木のシルエットを組み合わせてこういう形になるなあと思ったりとか。

K:いわゆる妄想癖やね。

F:(笑)。ものの形を見るという事が好きで。それから京芸に入ったんですけど、最初はドローイング、スケッチを主にしていました。物を見ながら手元は見ずに書くということをよくやっていて。物の輪郭を目でなぞった時の感覚だけで手を動かして出来たものが面白くて。それを自分の好きな色とかに置き換えたりして、絵を描いていました。

kokeshi / 2014

kokeshi / 2014

そこから物に名前や意味が与えられる事とかに興味を持ちだして、自分の絵を文字とコラージュしたイメージをシルクスクリーンで刷って作品を作っていました。それからイメージと支持体の関係について考えたくて、文字とパネルを使った作品を作りはじめました。

K:だからベニヤをそのまま素材というか、画面で使ってるってことよね。

F:はいそうです。

K:文字とかシンボリックなマークとかを解体、分析というか。それは何なのという興味が根底にあるのかな。あと、物の名前に興味があると仰ったけど世界を一回解体させて、自分が拾える物を拾って再構築したいという欲望から始まっているのかなと思ったりしました。
今、世の中にあるものは決められたことばかりじゃないですか。「教育とはこういうものだ」「版画とはこういうもので、だからこう作りなさいね」っていうような。でもそうではなくて藤田さんは、自分が街をぶらぶらしいて変だなと思ったものを、一回自分の中でリアリティを持つように咀嚼したい。

ART OSAKA実行委員:加藤義夫(加藤義夫芸術計室)

ART OSAKA実行委員:加藤義夫(加藤義夫芸術計画室)

既成概念や社会常識を自分の中で解体しなくちゃいけないので、文字とか気になる物を解体して、そこから見えてくるもの、失っていくものもあると思うけど、気になる物を拾い起こして再構築して、藤田さんの世界を再構築していくことで自分のリアリティを作品に刷り込ましていくというか、摺り合わせる作業の中で、自分の世界を自分でも見たいし、人にもこうだよって知ってほしい。この世界はいつのまにか作られていて自分は作ってないから、そういう意味で本質的な世界を自分自身で作りたいというのが作品に出てきているのかなと思いました。

〈これまでの展示のこと〉

K:これまでの展示経験について、ギャラリーでの展示や、公募展等は出した事はあるの?

F:はい。一番印象に残っているのは、3回生の時に展覧会をする授業というのがあって。版画専攻の学生10人くらいで京都のギャラリーで展覧会をしました。その時私は版画をやらなくて。当時版画を本当にやるべきなのかが分からなくなっていたので、一回自分の手で直接描く事に戻ってみようと思って。そこでやったことが結構大切な体験だったと思っています。それ以降シルクスクリーンを中心にやってきているんですけど、その時のことはいつも頭においてやっています。

藤田紗衣

藤田紗衣

K:他の学生達は版画作品を出していたの?

F:はい。

K:そういう時、先生達は「いいよ」って言うんですか?

F:はい、「やれやれ」って言って下さって。専攻内でも自由な雰囲気はありました。表現の方法を固定されずに絵が描きたいなら絵を描いていいし、版画やりたいならやりなさいっていう。
K:それは楽でいいよね。じゃないと「何で版画やってるんだ?」とか言われたりするしね。

F:そうですね、版画じゃなくても真剣に見て下さる先生がいっぱいいらっしゃいました。

K:それは環境が恵まれてるね。

〈今後の活動とART OSAKAにむけて〉

K:大学院に行こうと思ったのは何かを目指してということなの?

F:ものを作ることを中心にして生きていきたいなと思ったので。

K:ART OSAKAに選出されて出品するということだけど、期待する事ってありますか?

F:ホテルという特殊な場所なので、場所と作品がどう繋がるかというのが気になります。

K:ホテル空間は、ホワイトキューブのように作品を展示・鑑賞するためにある空間とは違って、日常空間に近い場所なので難しいところもあるかと思います。

でも、そこでどう作品が息づくかという部分では、コレクターが持って帰った場所で作品がどう生かされていくかという考えとほぼ一緒なので。そういう事を念頭に制作や展示に取り組んでもらえればと思います。実質的には作品の命って発表して終わりじゃなくて、誰かの手に渡ることで息づくと思うんです。気に入った作品をお金を出して持って帰ってもらって、その人の家の中で最も適した場所に飾られて、作品の命は息づくと思っています。

あとは、アートフェアってアートマーケットっていう部分が大きいけれど、面白いのは色んな作品が目の中に飛び込んできて自分と比較するチャンスが生まれるということやね。美術館に並んでいるような作品とも同じ土壌で比較できる。そういうところに連れて行ってくれるのがアートフェアなんかなと思う。いいチャンスだと思いますね。頑張ってください。

F:ありがとうございます。

インタビュー風景

インタビュー風景

〈藤田紗衣 略歴〉
1992 京都府生まれ
2015 京都市立芸術大学 美術学部 版画専攻 卒業
京都市立芸術大学 大学院 美術研究科 修士課程 絵画専攻 版画 在籍中
〈グループ展歴〉
2015 京都市立芸術大学作品展(京都市美術館、大学構内/京都)
2014 第39回全国大学版画展(町田市立国際版画美術館/東京)
PORTO DI STAMPA(アートゾーン神楽岡/京都、B-gallery/東京)
2013 drawing by my numbers(ocean temporary space/京都)
〈受賞歴〉
2015 京都市立芸術大学作品展 市長賞

編集 / 鈴木香澄(ART OSAKA事務局)

第2弾「アートで目覚めるvol.3」作家インタビュー:江上里絵子

前回に引き続き、ART OSAKA2015企画展「アートで目覚めるvol.3」に出展される2人目の若手作家。京都市立芸術大学で油画を専攻された江上さんのインタビューです。インタビュアーはART OSAKA実行委員会の八木光恵(アートコートギャラリー)。画面の大きさのこだわりや画材の研究など、制作の背景を伺うことができました。

インナートリップ / 2015

インナートリップ / 2015

<修了してから

八木(以下、Y):3月に京都市立芸術大学(※以下、京芸)卒業してから、今は、仕事をしているんですか。

江上(以下、E):春から高校の美術コースで美術を教えています。

Y:どうですか、京都市立芸術大学(以下、京芸)院を修了してから。

E:朝から晩まで京芸にいるのが日常だったので、無駄にしていた時間も多かった気がします。修了してからは仕事もしてもいるので、時間を見つけて制作していかないと、という気持ちが大きくなりました。

Y:大学を出ると、環境がすごく変わりますよね。

< 京芸作品展では>

Y:京芸作品展での学内の大きな大きな画面を私は見ました。

E:縦約300cm×横約435cmの画面は以前にも描いたことがあって、学内の作品展のは4回目の挑戦になります。4回生の卒業制作で同じサイズを描きましたが、その時は「これでは全然だめだ」としばらく立ち直れないほどの失敗をして。それからずっと「2年後院を修了する時に同じ大きさで納得のいく作品を描きたい」と、思っていました。

Y:今回は納得できましたか?

E:納得ではないですけど、「大ショック」ではなかったです。大きい絵は、ありかなしか一発で分かる感じがあります。私の絵ははっきり具象物を描いていないので、長いこと絵を見ていただいて、隠れた要素を発見してもらえればと思っています。でも、2年前の作品ではそこにさえ至っていないことが分かりました。今回はうまく言った部分とそうでない部分と冷静に見ることができたので、それが1つの判断基準でした。

Y:学内の展示スペースより大きい空間に持ってきたらまた違う見え方するかもしれませんよね。

E:そうですね。作品展では、引いて作品を観てもらいたかったので、隣のスペースと通路で繋がっていてぎゅっと引くことができる部屋を選びました。学内の展示スペースでは一番ベストな部屋を選べたとは思います。

Y:私、廊下まで引いて見ました。

E:ありがとうございます。壁画に近いようなものをやりたくて、大きい作品を成功させたいという気持ちがあります。矩形がすぐ分かるサイズ感より、外に外に広がるような感覚を自分の体と画面が共有できる大きさがいいです。

Y:実際に少しはフレスコを描いているんですか?

E:描いたことはないですが、京芸に壁画の部屋があるので身近ではありました。「壁画に近いもの」というのは、絵を見たとき360度周りを囲まれるような感覚を感じてもらえたらと思っています。

Y:画面から壁にまではみ出して、描くことはしてないんですか?

E:今のところはしてないですけど、それがやれる環境ならやりたいです。 作品展の大きいサイズの方は反省点が多かったんですが、もう一つの縦212cm×横145cmの作品の方が私の中ではしっくりきていて。あれは、最後にもう1作描こうと思って、3日ぐらいでできたんです。

Y:あれ素敵でした。

E:ありがとうございます。長いことぐちゃぐちゃと大きい作品をやっていたんですが、サイズを下げたことで初めて気づくことがあるってことを知ることができました。矩形で切られるのがすごく嫌だったんですが、それを解消できる色の置き方とかモチーフの見切れ方とかうまくいった部分があって。本当に些細なことだったんですが、小さいサイズでも描けるという展望が開けた気がしました。

Y:大きいのをやればこそ。ご褒美があったんですね。

E:本当にそう思います。

< 空気の層を描き起こす>

Y:モチーフはどこから来ているんですか。

E:最近は実際公園に行って、遊具で遊んでいる子どもを写真に撮り、それをモチーフに描いていました。モチーフを選択して絵を描いていますが、モチーフは自分の目を通していたらなんでもいいなと思っています。モチーフそのものよりそれを取り巻く空間をモノとして描きたいと思っていて、それをどう視覚化するのかを実験的に繰り返しています。抽象的な画面になっていくので何回も繰り返して描かないと、いくら自分の目を通していても画面に落としきれない感じがあるので、私にとっては繰り返して描くことが、モチーフよりも大事なことです。 私の絵は”空気の層”を描くための実験過程です。”空気の層”というのは私の触覚的な視覚体験から生まれた言葉です。私は、空気が自分を中心として、タマネギのように、同心球体状に重なっているイメーシで空間を捉えています。ものを見た時に空気の層が表面に沿うように歪められているように感じます。この感覚は私の皮膚から出発して、周囲全体を触っているような気持ちにさせるんです。これは私の触覚に近いもので、それを絵に起こしたいと思っています。

江上里絵子

江上里絵子

Y:人間の体に直接描いてそれをモチーフにすることもしていたんですか。

E:以前はペンで自分や友人の身体中に模様を描いて写真に撮り、それをもとに人型の模様を画面にトレースしていました。その肌に直接描く作業で空間に対する感覚に気づくことができました。皮膚は空気に触れ合う面であり、空間を介してモチーフを捉えているという。でも、出来てくる絵はモチーフである人体を模様で囲い込み、空間から切り離すようなイメージが強かったので、「違うな」という感覚がありました。なので、一度それから離れることにしました。

Y:今回は人体に描いたものではないんですね。

E:公園で遊んでいる子どもや人、遊具と周りの風景ですね。

Y:人体に描いておられたときと今回のようなものとでは、画面上の違いはありますか?

E:モチーフのアウトプットのし仕方はかなり変わりました。でも、興味の対象は同じで、今も”空気の層”がテーマです。ずっと目に見えないものを気にしていたというのはあります。

Y:空気の層は、見えてるんですね。

E:見えているというより、触るような感覚で見ています。

Y:けっこう視覚化できているんですね。

E:そうですね。でも、絵が描けなくなった時期もあります。見えないものをどうやって絵にしたらいいんだろうと。もっと自分の感覚と実際目に見えているものとを繋ぎ合わせて描こうと考えるようになって、少し楽になりました。

Y:描けているというわけですね。

E:描きたいと思って、描けています。

Y:そしたら、これかからも同じラインをもうしばらく追求していくんですか。

E:しばらくは続けていきます。

ART OSAKA実行委員会:八木光恵(アートコート)

ART OSAKA実行委員会:八木光恵(アートコート)

Y:今回のシリーズから送ってもらったポートフォリオの仕上がりでも、日本人的な感性で通じるところもあると思うんですけれども。色が染みていくようなところも、心地良いパターンが画面の中に出てくるような。

E:そうですね。でもパターンが見えすぎるのは良いとは思ってなくて。以前、大きい作品を「絨毯みたいだね。」と言われたことがあります。でも、絵の具を使えるという強みがあるので、パターンの要素を画面に落とし込むにしても、マチエールを工夫することで良くしていけると考えています。油彩画を周りで制作する人が多い中で、私の絵では、滲ませるとか、モノトーンに近い色の色調の変化が重要な要素であることは、技法として特徴的だと思います。複雑な深みのある色を好んで使っていましたが、それらの色作りが、絵を描くステップとどう関わっているのか知りたくなって、自分が無意識に多用する色をサンプルとして残していき、徐々に見つけていく作業をし始めるようになりました。

Y:染色的な滲み。あれは具体的にジェッソなど、面を整える時に滲むような下地を作ってはるんですか?

E:私は下地を作らず、画面に直接描いています。油彩で描く場合だと下地に下塗りなどの処理を施してから描く人が多いのですが、私は何も処理していない市販の綿布を使っています。下地の処理がされていると滲まないので、絵の具と水、スプレーや色んなタイプの刷毛を使って滲みを作ります。スプレーでどのくらい布を湿らせるか、どう絵の具を流すかとか、こうやったらこうなると言うのは予想がつくようになってきたました。画材の研究はこれからももっとやらなきゃと思います。安価な絵の具の方が顔料が荒く、混色して滲ますと後からいろんな色がでてきて面白い効果が出てきたり。描いて初めて分かることが多いですね。

Y:滲ませる描き方の人、それこそいろんな人がやってはりますもんね。そしたら、まだまだやりたいことはいっぱいあるわけやね。

E:はい。いろいろ手をつけて、ちょっとずつ見えてきたくらいの段階なので。今が一番、楽しいかもしれません。学生最後が一番、楽しくなりました。

Y:学生の間は制作することが仕事って言う環境でいられるけれど、これからは自分で自分をきちんと律していかないと維持できないからね。やりたいことが学生時代に見つけられたのなら、値打ちですよね。今の気持ちを忘れずに。

<ART OSAKA では>

Y:ART OSAKAでは、何を出そうと?

E:新作を作っていこうと思っていますが、ホテルの部屋っていうことで、どのくらいのサイズが許される範囲なのか、ちょっと分かっていないのですが。

Y:大きさ的には、遠慮されることはないですよ。

E:2月の中ぐらいのサイズのは、高さが212cm、横が145cmですね。中で、組み立てることができるなら、大きいのでも大丈夫です。

Y:そしたら、インパクトはばっちりですね。後は、ちょっと気の利いたやつをぜひ。大きいのはすごくインパクトを与えることはできるけど。せっかくアートフェアに出すんだから、売れるっていう経験も是非して欲しい。売ったことないですか?

E:ありません。

Y:売るって、大事なことです。特に若いときに作品もっていただくってすごく大事なことで、作品を持ってもらうと、その人はずっとあなたのことを見続けてくれる大事な人になってくださると思うんですね。これから出てくるものも期待して待っていますよ。私たちが見つけた作家としていてほしいので。今後ともよろしくお願いします。

E:よろしくお願いします。

DSC_0600 江上里絵子 略歴 2015 京都市立芸術大学 大学院 美術研究科 修士課程 絵画専攻 油画 修了 2013 京都市立芸術大学 美術学部 油画専攻 卒業 1989 奈良県生まれ ・グループ展歴 2014 京展 2014(京都市美術館/京都)〈入選〉

編集 / 室谷智子(ART OSAKA事務局)

ラウンジパートナー:MERRY TIMEのご紹介

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ART OSAKA 2015 では、フェア会場の26階の一室に、来場者にご休憩頂ける「ラウンジ」が登場します!!ラウンジのホストは、MERRY TIME さん。今話題の「サードウェーブコーヒー」をはじめサンフランシスコのコーヒーロースターを日本に紹介されています。

MERRY TIME のお二人 山田さん(Ms.)と小川さん(Mr.)

MERRY TIME のお二人
山田さん(Ms.)と小川さん(Mr.)

MERRY TIME さんは、これまで、ショップのオープニングやファッションイベントの数々で、美味しいコーヒーのケータリングをしています。そんな MERRY TIME さんとART OSAKA が 初コラボです。 ART OSAKA へのケータリングに向けて、暖かいコメントを寄せてくれました。 「MERRY TIMEは、コーヒーを通じて人と人がつながる時間。私達はそんな時間をつくり、つくる人を増やし、感謝しあうことが自然な世界をともに育みます。サンフランシスコのロースター、Fourbarrel Coffee(フォーバレルコーヒー)のコーヒーを、あなたのために一杯ずつドリップします。アートとコーヒーという異なるものが重なり合い生まれる化学反応をともに感じましょう。」

ファッション誌JJさんの40周年イベントの様子 2015.05

ファッション誌JJさんの40周年イベントの様子 2015.05

ヘアサロンLIM さんのオープニングの様子 2014.12

ヘアサロンLIM さんのオープニングの様子 2014.12

フェア当日は、ドリップしたてのコーヒーをHOTとICEで販売いたしますので、お楽しみに。 そしてお二人の優しいご理解ご協力で、コーヒーが苦手の方のためにも、緑茶やハーブティもご用意予定です。感謝。 購入する作品に迷ったら、アートとコーヒーが交わるラウンジで、ちょっと一息いれてみてはいかがでしょうか? ART OSAKA 目当てでなく、MERRT TIME ファンの方もいらっしゃるかも?! もちろん大歓迎です。

MERRY TIME  official ウェブサイト  http://merrytime.tokyo

text:宮本典子( ART OSAKA 事務局  )