
ART TAIPEI 2013 フェア会場:台北世貿一館 / Taipei World Trade Center Hall 1
11月7日(木) ー11日(月) の5日間、台北で開催された ART TAIPEI 2013 へ、視察に行ってきました。ART TAIPEI は今年20周年を迎えるアジアで一番長く続くフェアで、国内外から約150のギャラリーが出展しています。
ART TAIPEI 2013は、今年も活況で、その成功の秘訣は、台湾ならではの心のこもったポスピタリティとともに、台湾画廊協会の存在と芸術産経研究室 (Taipei Art Economy Research Centre) との共同、そして年々更新される運営組織の存在、そして経済局や文化庁、市など行政との連帯が挙げられるでしょう。
さて、ART TAIPEI のフェアディレクターは、台湾画廊協会の代表が担っており、3年に1度の選挙によって決まります。 今年から新しいディレクターに、Oliver Cheng 氏 (Chuan Cheng Art Center, Beijin) が就任し、その人柄からとてもユーモアと勢いのあるフェアになりそうです。ちなみに、Oliver Cheng 氏の Chuan Cheng Art Centerは、ART OSAKA 2012 にも出展されていたので、お会いしている方も多いかもしれません。

新しく就任した台湾画廊協会の 張逸群 / Oliver Chung 氏
ART TAIPEI 2013 の展示ブース、約150の内訳は、近代美術系が30、現代美術系が110、写真や映像、インスタレーションなどの新しい表現に特化した “New Media”と呼ぶブースが6、等から構成されています。
その他、特徴的なのは”Young Artist Discovery” として若手有望作家にブースを提供しているところです(ただし作家個人の出展ではなく、ギャラリーが若手作家の個展として見せています)。主に台湾の、若手登竜門的な賞を受賞していたり、グループ展に出展歴のある作家を、作家略歴の掲載されたリーフレット(もちろんバイリンガル)と共に紹介しており、外国からの来場者の視点で見れば、台湾の若手作家の動向を見て取ることができる一角となっていました。

フェア会場: Young Artist Discovery ブース(緑)

Young Artist Discovery ブース:張永達 / Yung-Ta Chang 作品,
亜洲芸術中心 / Asia Art Center, Taipei・Beijin より出展
東日本大震災時に、日本でレジデンスを行っていた経験から、制作された地震のデータを用いたメディアアート

New Media ブース:向文君 / Wen-Chun Hsiang 作品
芸星芸術中心 / Star Gallery, Taipei より出展
GPSを使って都市の生活領域を美的に映し出した作品

ART TAIPEI FORUM 会場:誠品百貨店
Presentation by Director of Taipei Art Long-sheng Shih, Economy research Center
ART TAIPEI 2013 では、同時並行で ART TAIPEI FORUM「亜洲価値 / ASIAN VALUE」と題した、密度の濃いフォーラムも開催されていました。本来このフォーラムへの参加には、3日間通しのチケットが必要なのですが、時間の都合上どうしても2日目しか出席できない旨をお伝えし、担当の方に特別に対応して頂きました(感謝)。
このフォーラムは、台北芸術産経研究室 (Taipei Art Economy Reserch Center) が主催となり、オランダのMaastrichit Universityや、台湾の国立師範大学、文化庁などが支援して行われていました。
トピックは、1日目は主にペーパーセッション、つまり学会の論文発表が行われたようですが、
( 詳しいプログラムはこちら >>> )
私が拝聴した2日目は、ドイツ銀行の 国際アートプログラムの紹介を通じて、企業が取り組む現代アート支援の意味、価値についてのレクチャーの他、産経研究室 の今年の主要研究テーマであった、現代アートに関心のある層に向けた、新しいメディア ArtAppの開発報告や、都市における現代アート産業のインパクト、影響力について、ドイツ・カッセルのdOCUMENTA や カールスルーエのZKMへの調査取材の報告などが行われました。
なるほど!と思ったことは実に沢山あります。 一つにはArtAppの開発も、現代アートに興味を持っているユーザーに使いやすいサービスを提供して、代わりにきちんとしたデータを集め、マーケティングに活かそうとしている方針と実践があり、またメディアセンターであるZKMを事例にしたのにも、台湾のIT産業の強みを現代アート産業にもつなげようとする方針を確かに感じました。
3日目は、日本、香港、台湾のギャラリ-ディレクターによるパネルディスカッションが続いたようです。個々のトピックの深い内容に関しては、立派なカタログを頂いたので、後で詳しく拝見しようと(汗)。

ART TAIPEI FORUM
Presentation by Friedhelm Hütte, the head of Global Art Program, Deutsche Bank AG
私は、ART OSAKA 事務局を担当している立場上、どうしても運営やプログラム構成に関心があります。
ART TAIPEI 2013 ではフェア本体でも、特別展として「森山大道の個展」が企画され、森山大道氏をはじめ、毎日複数のトークイベントも開催されていたのですが、それに加えて上記のART TAIPEI FORUMの内容です。
これだけのプロフェッショナルで、充実したプログラムを組める人材力、資金力には、正直、羨ましさを通りすぎて、ため息が出る程です。
ため息ついでに言うと、8日(金)夜には、フェア会場近くの5つ星ホテル W Hotel で行われたVIPパーティに、コレクターのSさんにお誘い頂き、同席させて頂きました。パーティは、着席式での台湾料理フルコースので、原住民の伝統楽器によるとっても現代的なライブ音楽も行われ、 はぁ=) 本当に素敵で贅沢な時間を楽しませて頂きました。

VIP Dinner Party:W Hotel Taipei
(後半に続く)
text:宮本典子 / ART OSAKA フェアマネジャー