月別アーカイブ: 2015年5月

第1弾「アートで目覚めるvol.3」作家インタビュー:今尾拓真

ART OSAKA 2015 企画展、「アートで目覚めるvol.3」(協力:京都市立芸術大学)に出展する若手作家に、ART OSAKA 実行委員がインタビューをしながら、作品の背景にあるもの、ART OSAKA での展示の構想、今後の展開についてお話をお伺いました。
第1弾は、今尾拓真さんに、ART OSAKA実行委員長の松尾良一(テヅカヤマギャラリー)がインタビュー。

work with #1 (京都市立芸術大学 大学会館ホール ) / 2015年 ※京都市立大学内「大学会館ホール」の空調設備のダクトを利用した作品。ホール側にビニル製の袋と回廊側にリコーダー、ハーモニカなど楽器を取り付けている。空調からでる空気の流れによって、ビニル製の袋が舞い楽器が鳴る構造になっている。作品動画は以下よりもご覧いただけます。 https://youtu.be/d6lgkTS43sk

work with #1 (大学会館ホール空調設備) / 2015年
※京都市立大学内「大学会館ホール」の空調設備のダクトにパイプを繋げ、ビニル製の袋とリコーダーやハーモニカなどの楽器を取り付けた作品。空調から流れる空気によって、ビニル製の袋が舞い楽器が鳴る構造になっている。作品動画は以下よりもご覧いただけます。
https://youtu.be/d6lgkTS43sk

〈 いろんな素材を 〉

松尾(以下、M):今尾さんは京都の出身なんですね。

今尾(以下、I):はい。京都の出身です。

M:昔から、京都市立芸術大学(※以下京芸)に入る理由とかありましたか。

I:高校は美術の学校とかではないですが、その頃から美術作品をぼんやりと作りたいなと思っていて。京芸に入りました。

M:彫刻を専攻することは、最初から決めていたの?

I:いろんなメディアを扱えていろんなフィールドに対して作品として提起していくことができるので、入学するときから彫刻専攻でと思っていました。京芸の彫刻専攻って基礎から順番にいろんな素材を触っていくんです。入学当時から、できるだけいろんな素材の特性を知っていた方がやりたい事に合った制作が出来るんじゃないかと思っていました。

〈 周りの状況と音の接点 〉

symathy / 2014年

sympathy / 2014年

M:今尾さんのポートフォリオを見て、すごく一貫しているという印象があります。

I:ここ一年くらい音をメインで扱っています。美術ということ、制作ということとかを考えながら。社会や周りを意識して作品として仕上げていこう、出していこうっていうのを考えだしたのが、実は最近で。

M:この音を出すシリーズってだいたい、いつからやってるの?2013年とか?

I: 2014年に入ったくらいです。それまでは、バラバラと作っていました。表面的にはバラバラしていると思いますが、それぞれ並べて考えてみると共通性や自分の興味が見えてきて。今は、実際にそれを実現させるものにフィードバックしています。

M:作品と人とのコンタクトは、意識をしている?

I:僕は「作品」というものを考えた時に、他のものとの関係の中で初めて成り立つと考えています。そういう周りの関係と作品との接点を考えた時に、作品と人とのコンタクトもあると思います。

始めは電気を使って機械で音を鳴らすことをしていました。でも、作品と動力の接点に対して気になりだしました。電気を使い、コンプレッサーを動力として音が鳴るんですが、機械の部分はブラックボックスになっていて、どうコンプレッサーが動いているか分からない。そこの接点が無理矢理のように思えて、しこりのように気になりだしたんです。

ドレミファソラシド / 2014

ドレミファソラシド / 2014年

I:実際に見る人と作品が関わることで作品が成立するようにしたら、つながりが自然になるんじゃないかと考え、動力が人である、鑑賞者を取り込んだものを作りました。でも、結果、僕の見せたい作品と、実際に動力になっている人(鑑賞者)が見ている状況とがずれることになってしまったんです。僕が作ったのは「作品」ではなく、作ったものに人が乗っている「状況」なんです。作品と鑑賞者との関係を見せたいのに、鑑賞者は作品に取り込まれ、その体験しか見ていない。そういう入れ子の状況があって。

〈 作品展”work with #1”について 〉

I:周りと自分の作ったものが繋がっているところを作品として見てほしいので、一度人から離れてみて、その2月の京芸作品展の ” work with #1″ になりました。モノを扱うけど、僕が全部をコントロールするんじゃない方法で。

work with #1 (京都市立芸術大学 大学会館ホール ) / 2015年

work with #1 (大学会館ホール空調設備 ) / 2015年

I:この塩ビ管がもともと建築についている空調のダクトです。上から空気が下がってきて通路側とホール側の両方に風が行くような構造になっています。ホール側のダクトにビニル素材の袋をつけて視覚的に空気を見せると同時にそこを塞ぐ。そっちに行けなかった風を通路側にまわして、音にしている構造です。もともとある状況に対して関わることで、動力と音との接点を見せる方法をとってみたんです。そうしたら見てもらいやすくなりました。

作品で扱っている素材は、僕のモノだけど世の中から借りてきたもので自分は作っていると考えています。これは、今、僕の作品として写真に載せているけど、別の言い方をすれば全然僕のものじゃないですよね。ある捉え方をすれば作品だけど大学の施設でもあって、その辺が曖昧なんです。

今尾拓真

今尾拓真

M:この空間で、実際いろいろ試行錯誤あったかもしれないけど。あの壮大な感じで仕上がったのは、気持ちよかったんじゃない?

I:気持ちよかったです。

M:片付ける時には残念な気持ちもあるけど、空間もそこのダクトも建物の構造物としてあるものも全部自分の作品の中に取り込めたっていうことだね。

I:そうですね。一期間だけ。

M:でもその永久性が無いことの面白さもあるし。

I:そうですね。それがすごい僕が大事にしたいとこでもあります。どんなものを作っても、永い年月やその時の時代背景によってなくなるかもしれない。そういうことを考えた時に、絶対性みたいなのをあんまり信じてないっていうか、

M:残る物は残る物でいいけど、こういうことも面白い。

I:むしろそのほうがリアリティーがある。

ART OSAKA 実行委員長 松尾良一(テヅカヤマギャラリー)

ART OSAKA 実行委員長 松尾良一(テヅカヤマギャラリー)

M:僕が目の当たりにしたのはこの作品しかないけど、これを見た時に「お。取り込んでるな」って感じた。普段は気にしないダクトを見て「こんなのがあるんや」とも思うし、どこまで構造物だったのかとも思う。いつもやったら通らない2階に上がって、ゆっくりラウンドしてしながら、全体の流れる空気が見えるようで。

I:実は僕、2階をめちゃくちゃ掃除したんですよ。物もどけたし、ダクトも拭いたし。掃除しているのか、制作しているのか謎の時間がありました。結構それが気持ち良くって、「僕のやりたい制作ってこういうことやな」とか思いながら掃除していて。

M:その苦労全然分からなかった。

I:掃除をするのは楽しいですし、嫌いじゃないです。僕の中では、材料を加工するのと、場所を掃除したりするのを区別したくなくて。そこで掃除をしているのも作っているということに入る気がします。

〈 今後の活動は? 〉

M:違うところでも、展示の予定入っていますか?

I:予定は、ちょうど昨日決まったんですけど、6月に*「ゲンビどこでも企画公募」に入選して。展示させてもらえる場があるというのはすごくうれしいです。
*「ゲンビどこでも企画公募」 URL:http://www.hiroshima-moca.jp/dokodemo/

M:どんどんそういう面白い公募みたいなのがあって、自分のやりたいのはどんどんやっていこうとしているんですね。

I:そうですね。作品展でやった方法論をホテルとかアートフェアとかに当てはめた時にどうなるかって言うのをART OSAKAでの展示ではやってみたいです。なかなか難しそうですが。

M:最初ね。この展示を見ておもしろいなと思って。だけど、「いや。ART OSAKAでできるかな。どういうふうにするかな。」と思いました。そこはチャレンジというか。僕だけに限らず、他の実行委員の皆さんも面白いなって言うことで、選ばしてもらったのもあるから。次を期待しています。

〈 今尾拓真 略歴 〉
2015 京都市立芸術大学 美術学部 彫刻専攻 卒業
1992 京都府生まれ

・グループ展歴
2015 ゲンビどこでも企画公募展(旧日本銀行広島支店/広島)
2014  どうしよ(京都市立芸術大学大ギャラリー/京都)
2013 やってるよ(京都市立芸術大学大ギャラリー/京都)
2013 親が期待しすぎる(京都市立芸術大学大ギャラリー/京都)

・受賞歴
2015 ゲンビどこでも企画公募2015(やなぎみわ賞)
2015 京都市立芸術大学卒業制作(市長賞)

編集 / 室谷智子(ART OSAKA 事務局)

6/21「反撃!抽象絵画」トークイベントのお知らせ

特別展「反撃!抽象絵画」チラシ(表)

特別展「反撃!抽象絵画」チラシ(表)

みなさんはじめまして!今年度からART OSAKA事務局に入りました、川西と申します。いよいよフェア当日まで残り2ヶ月を切りました。出展ギャラリーのみなさんと協力をしながら、素敵なフェアになるよう努めて参りますので、引き続きご注目のほど、よろしくお願いいたします。

さて、ART OSAKA 2015ではフェア期間中、ホテル同フロアにて特別展「反撃!抽象絵画」を開催いたします。いま、抽象絵画にはどのような可能性があるのか。「新たな抽象絵画論」を問う試みとして、現存作家による日本の抽象絵画を紹介いたします。6月21日(日)にはプレ企画としてトークイベントを開催いたしますので、まずはその告知をさせて頂きます。出品作家も参加いたしますので、どうぞお見逃しなく!

===

トークイベント「あらたなる抽象絵画論ーイメージと空間」
登壇作家:木村秀樹、東島毅、北𡌛吉彦、中川佳宣、寺島みどり
モデレーター:加藤義夫(本展キュレーター)
日時:6月21日(日)15:00〜17:00
(トーク終了後、1時間程度の交流会を予定)
会場:大阪府立江之子島文化芸術創造センター enoco
入場料:500円(事前予約不要)

===

ART OSAKA 2015 特別展「反撃!抽象絵画」チラシ(裏)

ART OSAKA 2015 特別展「反撃!抽象絵画」チラシ(裏)

text:川西遥(ART OSAKA 事務局)