さて、ART TAIPEI 2013 に同時並行して、市内では様々な現代アートの展覧会が行われていました。
現代美術館 MOCA Taipei や、Taipei Fine Art Museumでも現代美術展が開催されて、
そして日本の hpgrp GALLERY が中心となって行っている New City Art Fair も、roomsLINK というファッション・雑貨・アートの合同イベントの一環として、松山文創園区 (Songshan Cultural and Creative Park) で開催されていました。 roomLINK の雰囲気は、来場者の年齢層もメインフェアに比べて若く、日本のプロダクトやアートを気軽に楽しむ若者達で溢れていました。
New City Art Fiar はこちら >>>
ちなみに松山文創園区は、日本の統治時代の1937年に、煙草専売事務所として建設された広大な近代建築群で、デザインミュージアム や クリエイティブ産業の事務所なども入居している雰囲気のよい建物。市庁舎駅から徒歩10分程と好立地でした!
市内のギャラリーでも連日オープニングか予定されており、円山駅近くにある AKI Gallery では 「Contiguous Zone / 領海」と題した展覧会が11月2日(土)からスタートしておりました。この展覧会は、YOD Gallery、Gallery KOGURE、hpgrp Gallery と日本の三つのギャラリーがそれぞれワンフロアずつ使って、日本人作家を台湾で紹介する展覧会です。11月9日(土)夜にはオープニングが開催され、台湾の方々、日本人が沢山集まりました。
私が訪ねたもう一つの展覧会は、市内北に位置する 国立台北芸術大学に付属する開渡美術館 (Kuandu Museum of Fine Arts) で開催されていた、「亜洲巡代 / ASIAN CRUISE」展。〜12月15日(日) 迄。
14名の台湾の現代美術作家を、日韓中台から4名のゲストキュレーターによって構成したもので(日本担当は金島隆弘氏/アートフェア東京ディレクター)、出身国によって選ぶ作家の雰囲気の違いを感じ、多様性のある興味深い展示でした。
「亜洲巡代 / ASIAN CRUISE」展 の詳細はこちら >>>
大学は緑の丘の上にあり、河を隔てた遠くに TAIPEI 101 が霞んでみえる気持ち良い環境でした。写真を取り忘れたので、下記写真は美術館HPより拝借。
以上の2泊3日のART TAIPEI 滞在記。
改めての感想ですが、台湾の現代美術シーンは、文化と経済との両輪で産業として作っていこうとする姿勢が随所に感じられました。
現代美術の産業の育成・成長は、同時にデジタルメディア、ディバイス等のソフト面の成長を促し、それに関わる人材、雇用を新たに生み出すことについても、フォーラムでは度々に語られていました。またフェアが都市規模のイベントになれば、海外などから来場するゲストへ、ホテルや食事、リラクゼーションなど観光サービスへも繋がって行くことは明らかです。
補足として、今回のレポートは、フェア運営やプログラム構成、フェアの時期に開催されていた周辺イベントが中心になっています。
今回の滞在だけでは見えてこないし、殆ど触れることができないのですが、通常の台湾の現代美術シーンはどれほど盛り上がりを見せているのでしょうか。アーティストやギャラリーの現場の声が、大きな方針や政策に繋がっているのではないかと推測します。普段のコマーシャルギャラリーの継続的な活動、年間を通じた画廊協会や Art Economy Reserch Centerとの連帯、美術館のコレクションを含め行政の方針、また税制の優遇など、他にも様々な要因が連動しているはずです。
text:宮本典子 / ART OSAKA フェアマネジャー