京都市立芸術大学作品展ツアー2014

漆工ゾーン/京都市美術館1F

漆工ゾーン/京都市美術館1F

皆さん、こんにちは。今年は全国的に大雪が続いていますね。
物言わぬ大自然のヴェールと、口からぽかんふわん~と出ていく白い息とで、関西でも全域に渡って朝の景色にホワイトアウトを感じた方は多かったのではないかと思います。どうぞくれぐれも、日々のお仕事にもアート鑑賞にもご無理のないよう、心身とも大事にあたたかくしてお過ごしください。

さて、一昨日の2月13日、ART OSAKA実行委員メンバーは京都市立芸術大学作品展ツアーに行ってまいりました。
関西のアートの動向が集約されるART OSAKAでは、若手作家を紹介する場の創造も重要なミッションとして、以前からも、企画・実施してきました。

ex) 2006年 林俊作によるライブペインティング(企画:加藤義夫芸術計画室)
ex) 2011年 岡田真希人・来田猛・高橋卓久真「epiphany〜世界を発見する方法〜」(企画:森山貴之/京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA)

そして、昨年は「ホテルグランヴィア大阪×京都市立芸術大学 アートワークスプロジェクト」を発展させたフェア企画展「アートで眠る、アートで目覚める」を開催しました。
ART OSAKA 2014でも、若手作家をご紹介する更なる名企画を打ち出すべく、今年も作品展へのリサーチに伺わせていただいたというわけです。
今回は、同大学キャリアアップセンター・谷澤紗和子氏にご案内をしていただきながら、作品展(京都市美術館)→博士課程展(ギャラリー@KCUA)→作品展(学内)と廻りました。

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油画ゾーン/京都市美術館2F

井村一登 (学部3回/芸術学ゾーン/京都市美術館1F)
井村一登 (学部3回/芸術学ゾーン/京都市美術館1F)

美術館では、漆工、染織、陶磁器のゾーンが濃密で、展示形態までを含めた各々のこだわりが作品からとてもよく伝わってくるという印象を持ちました。台座と絡み合うような作品や、展示室に寄生するように提示されている作品もあり、造形を飛び越えパフォーマンス的な主張も垣間みられて、各ゾーンとも濃密な空間になっていました。
個人的には、芸術学の研究対象のラインナップが興味深く、ぜひ継続して実評論の場にも成果をつなげていってほしいと思えるものが多いと感じました。

昨年の「アートで眠る、アートで目覚める」出展作家で、まだ大学に在籍している5作家(高木智子(油画)/渡辺千明(油画)/勢野五月葉(日本画)/笹岡由梨子(油画)/西澤みなみ(構想設計)の新作も、やはり魅力的でした。

高木智子(油画M2/京都市美術館)

高木智子(油画M2/京都市美術館)

西澤みなみ(構想設計M2/学内展)

西澤みなみ(構想設計M2/学内展)

高木智子は、図像のぼかしから絵具の凸までの奥行きによる平面の視覚認識を探り、同モチーフを異なる描写バランスで複数点描くというスタイルで制作しています。画面から漂う独特のざわつき感には強力磁石のように惹き付けられるのですが、これは実見しなければ経験できないので、このブログではお伝えしきれないのが残念です・・・。
西澤みなみは、映像インスタレーション。希望者は、レインコートを着用して鑑賞できるとのこと。作品と空間と人の関係を自然に行き来させる、透明感のある仕掛けにも美しさとセンスを感じます。円形に映し出されたスクリーンの中で、女の子もレインコートを着ているようです。全貌は、まだ内緒の方がよいかもしれませんね。

森川阿沙子(構想設計M2/学内展)

森川阿沙子(構想設計M2/学内展)

鈴木孝平(彫刻 M2/学内展)

鈴木孝平(彫刻 M2/学内展)

新平誠洙(油画 M1/学内展)

新平誠洙(油画 M1/学内展)

岸本光大(油画M2/学内展)

岸本光大(油画M2/学内展)

個展形式での発表がメインとなる学内展では、パフォーマンス記録やサウンド、映像インスタレーション、平面作品ではミクストメディアによる作品展開が印象に残りました。
素材であるモノと作家の手が直接触れ合う中から生まれていく作品は少なく、デジタルメディアがやはり日常化して身近になっているのだなーと。そうした世代感覚が浮き彫りになっていたのもおもしろかったです。彼らの世代にとっての美術や作品に対する理想像とはどんなものだろう?どんなふうに世界の捉えて見ているのだろう?そんな話も聞いてみたいと新たに思いました。

ART OSAKA 2014への企画にどのように繋がっていくのか、乞うご期待〜。

雑賀通浩(彫刻M2/学内展)

雑賀通浩(彫刻M2/学内展)

参考)昨年の京都市立芸術大学 作品展ツアー鑑賞の様子はこちら >>>

Text: 大場美和(アートコートギャラリー/ホテルグランヴィア大阪×京都市立芸術大学 アートワークスプロジェクト コーディネーター)

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「想像しなおし」展 プレビューと福岡のアートシーン紹介

ART OSAKA BLOG、今回は福岡市美術館で開催されている注目の現代美術展「想像しなおし」について、福岡を拠点に活動するアートコーディネーター 宮本初音氏(ART BASE 88 主宰)にゲストライターとして寄稿頂きました。美術館だけでなく福岡のアートシーンの現場についてもご紹介頂きましたので、福岡訪問の際には合わせてチェック下さい!

2014/1/5 ギャラリートーク会場 写真提供:福岡市美術館

展覧会 オープニング (2014年1月 5日) ギャラリートーク会場
写真提供:福岡市美術館

2014年1月5日、年始から福岡市美術館は大変な熱気に包まれた。
コンテンポラリーアートの企画「想像しなおし」展、その初日のギャラリートークに観客約200人が集ったのである。

国内外で活躍する、まさに仕事がのっている30代のアーティスト6人が年末年始の期間福岡に滞在し、制作・設営を行った。
担当キュレーターがオリジナルのテーマを決め、それに沿った作家選考がおこなわれ、各作家とじっくりやりとりしながら、作品をつくりあげていく、それを公立美術館が主催する。世界的にはスタンダードな、このスタイルでコンテンポラリーアートの展覧会が開催されることは、福岡では実は稀なことである。

改装に入る前の同館のメイン展示室を、それぞれが大胆に使った作品は、相互に関連しあい、しかし独立して新しい視点を提案しつづけてくる。謎めいたタイトル「想像しなおし」をキーワードに最先端の「現代美術」の醍醐味をたっぷり堪能できる空間である。

 大西康明

大西康明   手前:「vertical emptiness (volume of strings)」2014    奥:「untitled」2014
撮影:山中慎太郎 写真提供:福岡市美術館

手塚愛子

手塚愛子    左:「想像しなおす」2014  右:「Suspended Organs (bruise)」2014
撮影:山中慎太郎  写真提供:福岡市美術館

川辺ナホ

川辺ナホ「眼鏡店」2013-14
撮影:山中慎太郎  写真提供:福岡市美術館

狩野哲郎

狩野哲郎「Wunderkammer」2013-14
撮影:山中慎太郎  写真提供:福岡市美術館

山本高之

山本高之「Facing the Unknown」2012
撮影:山中慎太郎 写真提供:福岡市美術館

山内光枝

山内光枝「you are here」2013-14
撮影:山中慎太郎  写真提供:福岡市美術館

この福岡市美術館は1980年代にはしばしば、東京で活動するアーティストを招聘し現地制作をおこなってきた歴史がある。当時20代の川俣正や30代の戸谷成雄らが地元作家と密接に交流していた。影響を受けた作家達が、こののちにアートプロジェクトを次々と企画するという時代を迎えたのである。
「想像しなおし」展においても、地元アーティストが制作をアシストした。その関わりが今後にどう繋がるのか、興味深い。

さらに注目されるのは、同展に合わせ福岡市内の多くのアートスペースで地元アーティスト展覧会が開催されていることである。アートシーズンの秋でなく1月にこれだけの企画展が出揃うのも非常に珍しい。
「想像しなおし」展のポスターや図録等デザイン全般を担当したカラマリ・インク(福岡市博多区)は、民家を使った自社オフィスを会場に、彫刻と絵画の二人展を主催。古い家屋の雰囲気を活かした見応えある展示で話題となっている。

近藤祐史

近藤祐史 「Golem」2013 H102×W48×D70 cm Cement
撮影:山中慎太郎 会場・写真提供:カラマリ・インク

遠山裕崇

遠山裕崇 左:「無題(溶解)」2013 45.5 x 53.0 cm oil, beeswax, on canvas
右:「無題(降下)」 2013 91.0 x 116.7 cm  oil, beeswax, canvas, on panel
撮影:山中慎太郎 会場・写真提供:カラマリ・インク 

大名のkonya-gallery(福岡市中央区)では20代から50代の福岡にゆかりあるアーティスト19組が参加した「Treasure Ship」展を開催、2014年にちなんで20140円で作品販売をおこなった。作品を売買する習慣が少ない福岡で、アーティストへのサポートや交流を狙った企画であり、トークにも多くの地元アーティストが集った。

Treasure Ship展 会場風景  写真提供:konya 2023

Treasure Ship展  会場風景  写真提供:konya 2023

Treasure Ship展 トーク風景 写真提供:konya 2023提供

Treasure Ship展  トーク風景  写真提供:konya 2023

このほか若手アーティストたちに知られたスペース、art space tetra(博多区)、IAF SHOP*(中央区)、シゲキバ(中央区)などでも20代から30代のアーティスト達が意欲的な展示に挑んだ。いずれも「想像しなおし」の会期と連動し観客が回遊することを想定している。

公立美術館が地元アーティストと連携をとることは、簡単なようで意外と行われにくかった。しかし事前に情報を交換し連携していくことが、予想を超える大きな反応へと繋がっていく。この意味でも「想像しなおし」展が福岡アートシーンに与えた影響は極めて重要なのである。

2014年秋には5年ぶりに第5回福岡アジア美術トリエンナーレが開催される。人口が150万人を超え、クリエイターの移住者も増えてきた福岡。九州各地のアーティストたちとの連携も活発になっているこの地のアートシーンに、これからも注目していただきたい。

[2014年1月の福岡の注目展覧会リンク]
1/5-2/23 福岡市美術館「想像しなおし」
http://sozoshinaoshi.com/
1/5-1/19 konya gallery “Treasure S hip”
http://konya2023.travelers-project.info/konya-gallery/2013/11/konya2023-new-years-art-mart—treasure-ship—1.html
1/5-2/23 Calamari Inc. “Split Ex.”
http://split-ex.calamariinc.com
1/5-1/18 シゲキバ 生島 国宜 個展 “joke”
http://sigekiba.com/news/art/1650/
1/5-1/13, 1/14-1/26(前期と後期)
アートスペース貘「漕ぎ手達の船」
http://www.artspacebaku.net/wiki/
1/7-1/26 art space tetra 「音と平面」 諸岡光男/田熊沙織
http://www.as-tetra.info/archives/2014/140107000420.html
1/9-1/26 IAF SHOP * 實松亮 「READING 」
http://members.jcom.home.ne.jp/iaf_shop/schedule.htm

北九州
1/7-1/26 Operation Table “Morgan O ‘Hara/ Cosm opolitan Pencil どこでもえんぴつ”
http://operation-table.com/

2013/10/15-2014/1/19 千草ホテル 中庭アートPROJECTS vol.14 牛島光太郎 展「千草ホテルの『何も起きない話』」
http://www.chigusa.co.jp/art_chigusa/2013/09/project-vol14.html

text by:宮本 初音 (アートコーディネーター / ART BASE88)福岡在住

謹賀新年:ART OSAKA 2014

いよいよ、2014年がスタートしました。
今年は2月にはソチオリンピック、6月にはサッカーワールドカップなどスポーツも目白押しの年ですね。
アートの世界で言えば、今年はベネチアビエンナーレは国際建築展ですし、大規模な国際展がないのかなぁ、と思うのは早とちりでした。
国内では今年初開催となるの札幌国際芸術際が7月19日~9月28日まで予定され、第5回横浜トリエンナーレも8月1日~11月3日まで予定されています。アジアに目を向けると、現在~2月16日まで、シンガポールビエンナーレが開催されている他、秋には釜山ピエンナーレメディアシティソウルが予定され、また台湾でも台北ビエンナーレが予定されています。

画像

いつも ART OSAKA blog を見て下さっている皆様、
今年の新しいスケジュール帳に、7月12日、13日にART OSAKA とチェックを入れて下さいね。
そしてアートフェア+αとして、国際芸術祭に行ってみたり、美術館へ行ってみたり、ギャラリーへ是非足をお運び下さい。ちなみに兵庫県立美術館 では来る1月18日(土)より3月23日(日)まで、ポンピドゥー・センター・コレクション 展が開催され、国立国際美術館では、2月1日(土) から5月11日(日)までアンドレアス・グルスキー展 が予定されています。

ではでは今年もどうぞ宜しくお願い致します。

(参考)
世界中の国際展の情報が地理関係と共にまとめられているサイトが、横浜トリエンナーレのWebsite内にありました。ご興味ある方は是非こちらへ
http://www.yokohamatriennale.jp/international/index.html

text:宮本典子 / ART OSAKA フェアマネジャー

年末年始のご挨拶と新事務所のご案内

20131227

2013年も沢山の皆様にご支援頂きありがとうございました
新しい年が、皆様にとって幸多きものとなりますようお祈りいたします

年の変わりに一つお知らせがございます
ART OSAKA 事務局 が、2014年1月より下記住所に移転いたします
新しい環境を追い風に、新鮮な気持ちで業務に臨んで参ります
今後とも変わらぬご支援のほどよろしくお願い申し上げます

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新住所
大阪市中央区上本町西4-1-68
〒542-0062

New Address
4-1-68 Uehommachi-nishi Chuo-ku, Osaka
542-0062 JAPAN
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年末年始休業のご案内:休 12月28日(土)ー1月6日(月)
ART OSAKA Office closure : from 28th DEC to 6th JAN

JEUNE CREATION 2013 報告会 -後編-

去る11月8日から17日まで、パリにて開催したジュンヌクレアシオンの展覧会で、審査員という大役を仰せつかり、会場での状況をご報告いたします。

11月8日(木) プレビュー:プレス発表

11月8日(木) プレビュー:プレス発表

記者発表の後、審査が開始されました。審査員は毎年かわるそうですが、今年は私を含む7名からなっており、他のメンバーはChristian Bernard 氏 (ジュネーブ近現代美術館館長)、Thomas Bernard 氏 (Galerie Corex Athletico, Bordeaux, Paris ギャラリーオーナー) 、Damien Leclere 氏 (オークション会社 ルクレール社長)、 Anae:l Pigeat 氏 (アート雑誌 ArtPress の編集長)、Muriel Enjalran 氏 (美術評論家及びインディペンデントキュレーター)や、アーティスト Societe Realiste 氏と、錚々たるメンバーでした。ちなみに、昨年の審査員長には、パリを代表し国際的にも知られる老舗画廊 Yvon Lambert のYvon Lambert 氏が審査員長を担っていたそうです。 JEUNE CREATION は、多方面からの鋭く確かな視点で評価するという意思が見えました。約50名の作品をひとつひとつ丁寧に、時間をかけて見て回るのですが、当然ながら皆さんの意見、評価は分かれます。

11月8日(木) プレビュー:グランプリを発表する審査員の様子

11月8日(木) プレビュー:グランプリを発表する審査員の様子

展示作品は、日本の同様の公募展示とはかなり異なる作品群です。映像やインスタレーション、パフォーマンスが主流で、平面作品は極端に少ない。これまでにあるようなものではなく、エッジに効いた作品が多い。フェアなどで見る作品や売れることを想定した作品は少なく、より自由な表現を目指しているのと、パリっぽいという意見もありました。

展示風景

展示風景

展示風景

展示風景

展示風景

展示風景

選考方法は、まず各審査委員がそれぞれ5名を選出し、票の少ないものを落としていきます。残った作品から更に票をとってどんどん減らしていき、最終的に2-3名に絞りました。その間も自分が推薦するアーティストについては意見を述べて、他の皆さんに訴えかけるという光景も多々ありました。そして残ったアーティスト作品についてはかなりの激論が交わされました。お互い譲らないという意見がぶつかり白熱した状況は、とても刺激になりました。
論点は、展示した作品のみで評価すべきか、過去の経歴やポートフォリオも見て判断するのか、ということでした。当然私はアーティストのバックグラウンドを知りませんでしたので、今回の展示作品で評価すべきと考えていましたが、結局他方のアーティストが選出されました。

グランプリ受賞作品 Sergio Verastegui (b.1981, ペルー出身 パリ在住)

グランプリ受賞作品 Sergio Verastegui (b.1981, ペルー出身 パリ在住)

準グランプリ受賞作品:Elizaveta Konovalova(b.1986、ロシア出身、パリ在住)

準グランプリ受賞作品 Elizaveta Konovalova(b.1986、ロシア出身、パリ在住)

それとは別に、ART OSAKA賞も選出し、映像と写真表現でユニットアーティスト「Lucie & Simon」になりました。今回の展示では5個の映像を使い、展示方法がとてもよく、じっと見入ってしまいました。あとで聞くと、彼らは、2010年にHSBC賞グランプリを受賞し、フランス国内の巡回展の展示機会を獲得したそうで、ヨーロッパを中心に、中国やアメリカでも広く活躍している作家だそうです。

ART OSAKA 賞:Lucie &  Simon (b1981, b1985 ) フランス人とドイツ人のユニット

ART OSAKA 賞:Lucie & Simon (b1981, b1985 ) フランス人とドイツ人のユニット

Lucie & Simon の作品は、来年のART OSAKAで展示予定ですので、楽しみにし てください!

それから、展覧会会期中には、JC 運営側と、ART OSAKA 2013 で 奨励賞を受賞した3名(南俊輔さん、三宅砂織さん、マリアーネさん)のフランスでの作品展示に関しての話合いも、慌ただしい中、時間を見つけて行われました。その結果、次の3パターンの提案がなされました。

1.モンマルトルにある JC 所有のギャラリーでの展示。
2.マレ地区にある JC と交流が深いコマーシャルギャラリーでの展示。
3.マルセイユにある JC のアートスペースで展示→パリに巡回。
(マルセイユのほうが設備など整っていて、問題が少なく実現できるかも、ということでした。)

どのパターンになる今後の方針や、展覧会に関しては、JC 展覧会終了後に、フランス側が総括をして、決定されることになりました。より良い展示を実現するために、じっくりと検討してから展覧会を開催したいというフランス側の意向もあり、現段階では2014年4月あたりを目処に、双方動いていくことで一旦まとまりました。こちらからもアプローチしていきたいと思います。

JEUNE CREATION スタッフとブランチミーティング

JEUNE CREATION スタッフとブランチミーティング

JEUNE CREATION Gallery 外観

JEUNE CREATION Gallery 外観

JEUNE CREATION Gallery の内部

JEUNE CREATION Gallery の内部

今回のパリでの交流展示では、お互い初めてということもあり、色々な問題点や改善点も出てきました。JC 展に出展した鈴木悠哉さんとも話しておりましたが、改善点はあるものの、JCという公募展での展示は今後日本のアーティストにとってはとても意義のあるもので、今後も継続するしていければと考えています。

アートフェアという枠組みで考えた場合、今回の企画が即販売やART OSAKA の利益になるものではありませんが、このような交流は、参加ギャラリーで扱われている作家にとって、そのギャラリーにとって、他のアプライしたアーティストにとって、多様な意義があるように思います。交流することでのART OSAKA の存在価値、他のフェアとの差別化、コレクターの方々に対するアピール、ご賛同いただける企業や財団と関係づくりなどを考えると、非常に効果が期待できると思います。継続的に交流することで、フランスとのパイプがより深くなり、可能性は広がることでしょう。

text:松尾良一 / TEZUKAYAMA GALLERY・ART OSAKA 実行委員長
情報提供:糟谷恭子 / パリ在住 アートコーディネーター

JEUNE CREATION 2013 報告会 – 前編 –

JEUNE CREATION 2013 の報告会が、11月28日(木) に、アンスティチュ・フランセ 関西・大阪にて行われました。今回のブログ前編では、ART OSAKA 特別枠として派遣された鈴木悠哉氏に、報告会でのお話や、あの場で伝えきれなかったことを交えて、JEUNE CREATION へ出展した経験談について、テキストを寄稿頂きました。後編 (来週予定)では、審査員として現地入りした松尾良一氏(ART OSAKA 実行委員長/テヅカヤマギャラリー代表)による寄稿を予定しています。

町中にも行き届いた広報

町中にも行き届いた広報

このJEUNE CREATION (以下、JC) について率直な感想

今回、ART OSAKA 2013 において選出され、パリの公募展 JEUNE CREATION 2013 に参加致しました。
私は、はじめこの公募についてまったく知りませんでした。しかし、この公募はパリにおいては60年以上も続いている長い歴史を持っており、そのはじめから Jeune (=若者)が中心となって企画を推し進めてきた経緯を持っています。現在においては、若いアーティストの登竜門的なポジションを確立しており、パリでは、Salon de Montrouge というもう一つの公募と共に、2大若手登竜門と言われているようでした。

過去に JC を経験し、JC をきっかけとして大きく成長したアーティストが多く存在するそうで、そのことが、現在、本展がパリ市民やアート関係者の信頼を勝ち得ているように感じました。いわゆる公募展がこれほどまで注目されるという現状には驚かされました。

期間中はなるべく会場に居たのですが、ギャラリスト、コレクターなどアート関係者の層が多いのに加え、家族づれや老若男女と、お客さんの層が多様だった事も特徴の一つであると思います。
パリ市民のこのイベントへの関心の高さと、ギャラリストやコレクター、キュレーター層が若い才能を探してこの企画に足を運んでいる以上、アーティストにとってはこの場所で展示が出来るという事は大きなチャンスであることを意味すると思います。

今回私が参加したのは、ART OSAKA と JC の交換プログラムにおける特別枠であったのですが、それ以外の一般公募枠の競争は熾烈なものであるということを聞きました。そして彼らの展示を見るにつけ、展覧会全体から緊張感が滲んでいたように感じます。事実、ここでのプライズはアーティストの今後の活動においても大きなステータスになると聞きます。

総じて、この JC 展では、何か若いアーティストが国際的なアートシーンの舞台にのし上がっていくーその現場に立ち会えたような気がしています。公募展というものがアートワールドにおいても有効に機能している、という実感を持つにつけ、このような機会をアーティストはおおいに活用するべきだと感じています。

搬入の様子 運営スタッフも皆若いアーティスト

搬入の様子 運営スタッフも皆若いアーティスト

JCの組織、展覧会運営、搬入等について

JCのディレクターは3年おきに替わり、今回は自身もアーティスト活動を行っているジェレミー・シャボー氏が務めています。基本的に展覧会におけるアーティストの選定はディレクターを中心に行う為、展示全体はディレクターの趣向やコンセプトが大きく影響する事になります。
実際に選定されたアーティストの多くは、パリ在住のフランス人アーティスト、またはパリに制作の拠点を移している外国人アーティストとなっており、フランス色の強いものでした。 ただ、この公募はインターナショナルなものであり、条件として国籍等を問わない公募になっています。シャボー氏の意向として国外からの応募を歓迎しているようなので、アーティストの方で興味のある方は応募される事をお勧めします。

JC展会場 ル・サンキャトル 地下フロア

JC展会場 ル・サンキャトル 地下フロア

JCの会場は、ル・サンキャトル という文化複合施設で行われました。地下のフロアが今回の企画に割り当てられています。この施設は、もとは火葬場をリノベーションした大きめのスペースの中に、本屋、有機野菜売り場、カフェ、ダンススタジオ、などが入っており、パリジャンの週末のお出かけスポットのような場所でした。その中のイベントスペースで、毎回若者向けのアートイベントや様々な企画が行われているようでした。サンキャトルのある地区は、パリの中心からは幾分か離れた移民が多く暮らすエリアなのですが、この地区にスタジオを構えるアーティストが近年増えていると聞きました。場所、設備に関して、申し分ないと感じました。

次に企画の運営形態に関してですが、
本展は、数多くの企業、行政からの助成を受けていましたが、ディレクター及びスタッフ(照明、電気系統などの専門のスタッフは除く)は、基本的にボランティアでの参加になっています。そしてスタッフは、基本的に皆若いアーティストです。ディレクターのシャボー氏も含め、参加アーティストもスタッフも対等であり、わきあいあいという風に、企画は進められているように感じました。
問題点としては、サポート体勢において、スタッフがプロフェショナルでは無いため、出来る人が出来る事を行う、ということが基本としてあり、作業能率が悪い、という印象がありました。私自身の搬入では、信頼出来るスタッフを最終的に2人くらいに絞り、彼らとの共同作業で現場作業を行いました。

国際交流、交換プログラムの特有の課題

フランス人とフランスで展示をするということが、初めての経験であった為、日本人とフランス人の気質の違いであったり、物事を行う際の時差のようなものを、おおいに知るきっかけになりました。異文化圏の人と共同作業をするときに感じるこのようなギャップは、実は重要な要素ではないかと感じています。そのギャップがあることで作業は難航するのが常であり、合理化は阻まれるわけなのですが、そのギャップを許容する事はそのままその国の文化理解に繋がる事もあると思います。
今回の彼らとの作業の中で最も印象的だったのはそのようなギャップについてです。また、一番学ばされたのもその部分だったと感じます。

JCとART OSAKAとの今回のプログラムにおいて、実質的な問題点は幾つかあったと思います。そのことを改善していくことはもちろんですが、異文化の人間同士が関わる以上生じてくるギャップに対しての構えのようなものはアーティストにとっては特に必要なものであると感じています。

私の搬入の際も、そのような事情から最後まで完成するのかしないのか、ハラハラする局面は続きましたが、最終的にはフランス人は時間に間に合わせて、完成させる人たちです。作品のインストールにおいては、要求していた機材も最終的に用意してもらう事ができ、ほぼ要求していた通りの展示をする事が出来ました。
必要機材に関する追記として、私以外の他の公募枠のアーティストたちは必要なものを自分で用意をする必要がありました。今回、自分はART OSAKAの特別枠での参加であり、そのために運営側から全面的にサポートを受ける事が出来ましたが、そういった点においても公募枠との温度差はあったと感じます。

来場者の様子 美術関係者からパリ市民まで幅広い観衆

来場者の様子 美術関係者からパリ市民まで幅広い観衆

展示作品に関して、来場者の反応

展示全体はやはり若々しい印象があり、また基本的にコンセプト重視の作品が目立ちましたが、中には絵画やドローイングなどのオーソドックスなメディアを使う作家も見受けられました。
一概には言えない事だとは思いますが、フランス人はどちらかというと最終的にビジュアルをきれいに見せる性質があると感じます。そこはある意味で日本人と同じように美学的な見地というものの占める割合が高い、と言えるのではないかと感じました。対照的にドイツでは一般的にポリティカルで見た目がワイルドな作品が目立つように感じていたので、今回の JC の展示全体を見渡す限り、すっきりしていてスマートな印象がありました。

筆者の展示ブース  映像2点とドローイング20点から構成

筆者の展示ブース 映像2点とドローイング20点から構成

Yuya Suzuki「untitled」 2012-2013  pencil on paper  300 x 400 mm / each

Yuya Suzuki「untitled」 2012-2013 pencil on paper 300 x 400 mm / each

Yuya Suzuki「untitled」 2012  pencil on paper  210 x 298 mm / each

Yuya Suzuki「untitled」 2012 pencil on paper 210 x 298 mm / each

今回の自分の展示に関しては、ドローイングおよそ20点と、映像2点の展示構成になりました。搬入時間が実質2日間程度はあったので、もっと手のこんだインスタレーションも可能であると感じました。
作品の内容に関しては、サウンドイメージとビジュアルイメージをすり替える、ということをビデオの中で行っています。知覚や認識のズレがあり、そのことをきっかけに生じてくるまた別の内的な空間の事をモティーフにしています。結果的に構造の分かりやすいビデオになったと思います。そのために見た人のダイレクトな反応を得る事が出来ました。単純に面白いと言ってくれる人から、作品の構造の深い部分を指摘してくれる人もいたり、様々でしたがすべての反応が自分にとって有効だと感じました。とても有意義な体験だったと思います。

その他、雑感

加えて有意義だったのは、今回展示期間中パリに滞在し幾つかの美術館やアートセンターを巡ったことでした。
パリ市民のアートへの関心の高さに加え、行政がバックアップした上で、企画側もしっかりとした見せ方が出来ていると感じました。こういった行政と国民の間でのアートへの信頼関係というものがフランスでは着実に築かれているのだと感じます。
特に印象に残った話の中に Le Plateau というギャラリー(アートセンター)の事*1があります。このギャラリーと美術館の中間のような性質をもつ施設は、フランスの地方都市に約50ほど点在しており、これは文化事業の一環として行政のバックアップのもと、運営されているようです。
ユニークなのは、2年間の期限付きで一人のキュレーターが派遣され、企画を一任させるという仕組みがあると言う事*2。また、そこで展示を行った作家の作品を基本的にそのセンターが買い取るという仕組みがあるということ。私がパリのこの Le plateau に行った時は、ライアン・ガンダーの展示が行われていましたが、小規模ながら見せ方は秀逸でした。フランスのアートに対しての懐の深さのようなものを思い知った気がしました。*3

日本のアーティストは国内の活動にとどまり、アートにおいての世界の舞台に乗り上がる事が困難な状況があるように思います。多くの場合、いわゆるアートワールドで制作活動を続けていくとなった時に、基本的にはセルフプロデュースであり、すべてのマネージメントを自分自身で行う事が前提になります。
制作と同時に生活の問題を抱える多くのアーティストにとってこの事は大きな負担となっており(それは国内在住作家も、在外作家も同様だと思うのですが)海外の舞台で勝負するという段階まで行き着くまでにも、あらゆる生活のリスクが存在しています。

アーティストは、基本的に様々なチャンスを自分自身の実力と運で勝ち取って行く他無いと思われますが、今回のプログラムのようにアーティスト以外の人たちの尽力によって、海外にプレゼンテーションの場所を与えられるという機会は、少なくとも日本のアーティストにとってはかなり有効であると感じています。それが、例えば  東京ワンダーサイト  などの団体が行うような、「レジデンス」の交換プログラムという形もあり得ると思いますが、今回のように海外の「公募」で行う事の意義も同様に大きいと感じます。
レジデンスがその地方のアートコミニティとの交流に終始する事が多い中で、公募展においてはギャラリスト、コレクターなどのアートワールドの人間と接触する機会が多いということが、特徴の違いの一つとしてあげられるのかもしれません。

しかし、アートワールドのプロセスにおいて機能している公募展を探すのはまた困難な事であり、現に今回の JC のような若手の登竜門的な公募展が各国にあるかといったら、そうとも限りません。アワード等のコンペは、数限りなくあると思いますが、公募展は意外なほど少ない気がしています。

こうした現状の中、今回 JC に参加出来た事は得難い経験であったと思っています。また、今回の JC と ART OSAKA のエクスチェンジプログラムが、両者の友好関係と好意から成り立っている点は特筆すべき点だと思います。
文化予算の少ない日本の行政をバックにして、日本でアートプログラムを実施する事が基本的に困難であると感じています。行政(あるいは企業)を説得する言葉を探すうちに、本質はどんどんズレていくようです。例えば今回のプログラムのように、国を越えての個人と個人の結びつきや、信頼関係から成り立つ企画のかたちもあるのではないかと考えています。

そのことを軸に、多くの人のサポートを経てこの企画は成り立ったのだと思います。
少なくとも私自身はこのプログラムを(幾分大雑把ではありますが)そのように捉えており、そのことを思うにつけても、このような展示の機会を設けてくれた日本、フランス両国のスタッフの皆様、関係者の皆様に感謝しています。ありがとうございました。

公募展・国際的なアワードの情報参照リンク
フランス / 公募
Salon de Montrouge http://www.salondemontrouge.fr/
Jeune creation http://www.jeunecreation.org/
Open Call for 2014, 締切 3月1日 http://www.jeunecreation.org/en/appel-a-candidatures-jeune-creation-2014/

フランス / アワード
Bourse Jean-Claude Reynal  http://www.rosab.net/bourse-reynal/accueil.php

ドイツ / アワード
http://www.kunstfonds.de/
http://www.artgrant.de/en/


*1 Le Plateauはパリだけの名称で、他のフランスの都市では、Frac(Le Fonds Régional d’Art Contemporain)という、日本で言うと文化庁が組織している国が経営するアートセンターです。

*2 2年間限定のシステムはパリだけにあったもので、今は財政が厳しいので休止しているようです。あとはそれぞれのFracの運営にまかされています。外からキュレーターを招く事もあるようです。

*3  Fracは、1980年代まではパリに全ての美術展が集中していたため、地方にも美術展を分散させようという考えから作られました。地方に住んでいる人も気軽に、そして無料で現代美術に触れてもらう事が目的となっています。こういったことからも、フランスにおいてはアートの垣根がとても低くなっているのだと言えます。

text:鈴木悠哉 / アーティスト・JEUNE CREATION 2013 出展作家
Salon de Montrouge やFracに関する情報提供:糟谷恭子 / パリ在住 アートコーディネーター

NOW Japan 展 訪問

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Kunsthal KAdE   2014年に新築移転予定

アメルスフォ-ルトという聞き覚えのないオランダの一都市から2人のキュレーターがリサーチにやってきて約2年、紆余曲折あったが NOW Japan 展はついに実現されることとなった (会期:2013年9月21日ー2014年2月2日)。会場となる Kunsthal KAdE は人口15万人規模のアメルスフォールト市とモンドリアン財団が運営する現代美術やメディアアートの企画展示に特化した小規模ながら明るい雰囲気の美術館である。

草間、村上、奈良だけではない現在進行形の日本のアートを紹介しその理解を広めたいという展覧会趣旨に沿い、37名の多彩な作家が選出された。もとはアニメや漫画から離れて従来の日本の伝統文化や美意識が現代美術にどのように反映されているかを探りながらの人選であったようだが、そこにフクシマというキーワードが加わり、いささか盛り込みすぎという感も否めないが、森末由美子以外の作家としては、金氏徹平、鬼頭健吾、伊藤存、青木陵子、チム↑ポム、鳥光桃代、赤瀬川原平、佐藤允、木藤純子、照屋勇賢、田名網敬一などが選ばれている。

Exhibition View

Exhibition View
作品奥:鳥光桃代 / Momoyo Torimistu

Exhibition View

Exhibition View
作品左:ウォールペインティング:佐藤允 / Ataru Sato
作品右:インスタレーション:鬼頭健吾 / Kengo Kito

展示を終え、オープニングまでにテレビ局や新聞社のインタビューを受ける森末由美子。

展示を終え、オープニングまでにテレビ局や新聞社のインタビューを受ける森末由美子

NOWJapan_KAdE_2013_013

KAdEのキュレーターやスタッフはとても有能、効率よくさまざまなイヴェントを用意しつつ、不慣れな作家にもリラックスした雰囲気で展覧会本番へと盛り上げてくれた。会期中は日本の自主制作映画やジブリアニメの上映、建築などのレクチャアーが開かれるなど日本関連のイヴェントがつづいているようだ。

NOWJapan_KAdE2013_019

9月20日オープニングの様子

9月20日オープニングの様子

9月20日オープニングの様子

ところで1960年代にパリに渡った工藤哲巳をいち早く取り上げたのはオランダの美術館で、彼を長きに亘って支えたコレクターもオランダ人であったこと、奈良美智がドイツにいたときも現地の画廊より早く個展やフェア出品をしたのはオランダの画廊と聞く。ここからほど近いクローラーミューラー美術館でもかなり前から日本の現代美術を取り上げた企画展が何度か開催されていると聞く。

「具体」や「もの派」のように近年脚光を浴び、欧米で潤沢な予算でアップデートされてきた展覧会と違って国際的には未評価の作家も混じるNOW Japan展は予算調整に苦渋し実現までに多難であっただろうと察せられる。日本に何度も足を運び独自の視点で切り取った日本の現代美術の一側面をこういうかたちで紹介していただいたことに感謝したいと思う。

本展の企画者の一人ロバート・ルース氏が指摘するように日本のアーチストが既に国際水準にあること、日本の現代美術が世界のアートシーンの重要な一部であることをかみしめながら帰途に就いた。

3.11以降という大きな歴史のターニングポイントを抱えながらもこれからの日本のアートシーンはますます海外から注目されるものとなっていくであろう。NOW JapanはNOWだけでない「日本(のアート)はこれからどうなるの?」という小さな波紋も投げかけているのではないかと思った。

本展は2014年2月2日(日)まで開催中。
公式ウェブサイト:www.kunsthalkade.nl

text  : 細川佳洋子 / ギャラリーほそかわ・ART OSAKA 実行委員

ART TAIPEI 2013 レポート(後編) – 市内の関連イベント

roomsLink TAIPEI 会場:松山文創園区

New City Art Fiar in  roomsLink TAIPEI

さて、ART TAIPEI 2013 に同時並行して、市内では様々な現代アートの展覧会が行われていました。
現代美術館 MOCA Taipei や、Taipei Fine Art Museumでも現代美術展が開催されて、
そして日本の hpgrp GALLERY が中心となって行っている New City Art Fair も、roomsLINK というファッション・雑貨・アートの合同イベントの一環として、松山文創園区 (Songshan Cultural and Creative Park) で開催されていました。 roomLINK の雰囲気は、来場者の年齢層もメインフェアに比べて若く、日本のプロダクトやアートを気軽に楽しむ若者達で溢れていました。

New City Art Fiar はこちら >>>

ちなみに松山文創園区は、日本の統治時代の1937年に、煙草専売事務所として建設された広大な近代建築群で、デザインミュージアム や クリエイティブ産業の事務所なども入居している雰囲気のよい建物。市庁舎駅から徒歩10分程と好立地でした!

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松山文創園区:New City Art Fair 会場

市内のギャラリーでも連日オープニングか予定されており、円山駅近くにある AKI Gallery では 「Contiguous Zone / 領海」と題した展覧会が11月2日(土)からスタートしておりました。この展覧会は、YOD Gallery、Gallery KOGURE、hpgrp Gallery と日本の三つのギャラリーがそれぞれワンフロアずつ使って、日本人作家を台湾で紹介する展覧会です。11月9日(土)夜にはオープニングが開催され、台湾の方々、日本人が沢山集まりました。

AKI Gallery オープニングの様子

AKI Gallery 「Contiguous Zone」展 オープニングの様子

私が訪ねたもう一つの展覧会は、市内北に位置する 国立台北芸術大学に付属する開渡美術館 (Kuandu Museum of Fine Arts) で開催されていた、「亜洲巡代 / ASIAN CRUISE」展。〜12月15日(日) 迄。
14名の台湾の現代美術作家を、日韓中台から4名のゲストキュレーターによって構成したもので(日本担当は金島隆弘氏/アートフェア東京ディレクター)、出身国によって選ぶ作家の雰囲気の違いを感じ、多様性のある興味深い展示でした。

「亜洲巡代 / ASIAN CRUISE」展 の詳細はこちら >>>

大学は緑の丘の上にあり、河を隔てた遠くに TAIPEI 101 が霞んでみえる気持ち良い環境でした。写真を取り忘れたので、下記写真は美術館HPより拝借。

国立台北芸術大学付属 開渡美術館 / Kuandu Museum of Fine Arts, TNUA

国立台北芸術大学付属 開渡美術館 / Kuandu Museum of Fine Arts, TNUA

以上の2泊3日のART TAIPEI 滞在記。

改めての感想ですが、台湾の現代美術シーンは、文化と経済との両輪で産業として作っていこうとする姿勢が随所に感じられました。
現代美術の産業の育成・成長は、同時にデジタルメディア、ディバイス等のソフト面の成長を促し、それに関わる人材、雇用を新たに生み出すことについても、フォーラムでは度々に語られていました。またフェアが都市規模のイベントになれば、海外などから来場するゲストへ、ホテルや食事、リラクゼーションなど観光サービスへも繋がって行くことは明らかです。

補足として、今回のレポートは、フェア運営やプログラム構成、フェアの時期に開催されていた周辺イベントが中心になっています。
今回の滞在だけでは見えてこないし、殆ど触れることができないのですが、通常の台湾の現代美術シーンはどれほど盛り上がりを見せているのでしょうか。アーティストやギャラリーの現場の声が、大きな方針や政策に繋がっているのではないかと推測します。普段のコマーシャルギャラリーの継続的な活動、年間を通じた画廊協会や Art Economy Reserch Centerとの連帯、美術館のコレクションを含め行政の方針、また税制の優遇など、他にも様々な要因が連動しているはずです。

text:宮本典子 / ART OSAKA フェアマネジャー

ART TAIPEI 2013 レポート(前編)- ART TAIPEI とTAIPEI FORUM

フェア会場:台北世貿一館 / Taipei World Trade Center Hall 1

ART TAIPEI 2013 フェア会場:台北世貿一館 / Taipei World Trade Center Hall 1

11月7日(木) ー11日(月) の5日間、台北で開催された ART TAIPEI 2013 へ、視察に行ってきました。ART TAIPEI は今年20周年を迎えるアジアで一番長く続くフェアで、国内外から約150のギャラリーが出展しています。

ART TAIPEI 2013は、今年も活況で、その成功の秘訣は、台湾ならではの心のこもったポスピタリティとともに、台湾画廊協会の存在と芸術産経研究室 (Taipei Art Economy Research Centre) との共同、そして年々更新される運営組織の存在、そして経済局や文化庁、市など行政との連帯が挙げられるでしょう。

さて、ART TAIPEI のフェアディレクターは、台湾画廊協会の代表が担っており、3年に1度の選挙によって決まります。 今年から新しいディレクターに、Oliver Cheng 氏 (Chuan Cheng Art Center, Beijin) が就任し、その人柄からとてもユーモアと勢いのあるフェアになりそうです。ちなみに、Oliver Cheng 氏の Chuan Cheng Art Centerは、ART OSAKA 2012 にも出展されていたので、お会いしている方も多いかもしれません。

新しく就任した台湾画廊協会の 張逸群 / Oliver Chung 氏

新しく就任した台湾画廊協会の 張逸群 / Oliver Chung 氏

ART TAIPEI 2013 の展示ブース、約150の内訳は、近代美術系が30、現代美術系が110、写真や映像、インスタレーションなどの新しい表現に特化した “New Media”と呼ぶブースが6、等から構成されています。

その他、特徴的なのは”Young Artist Discovery” として若手有望作家にブースを提供しているところです(ただし作家個人の出展ではなく、ギャラリーが若手作家の個展として見せています)。主に台湾の、若手登竜門的な賞を受賞していたり、グループ展に出展歴のある作家を、作家略歴の掲載されたリーフレット(もちろんバイリンガル)と共に紹介しており、外国からの来場者の視点で見れば、台湾の若手作家の動向を見て取ることができる一角となっていました。

フェア会場: Young Artist Discovery ブース(緑)

フェア会場: Young Artist Discovery ブース(緑)

Young Artist Discovery ブース:張永達 / Yung-Ta Chang 作品 /  亜洲芸術中心 / Asia Art Center より出展

Young Artist Discovery ブース:張永達 / Yung-Ta Chang 作品,
亜洲芸術中心 / Asia Art Center, Taipei・Beijin より出展
東日本大震災時に、日本でレジデンスを行っていた経験から、制作された地震のデータを用いたメディアアート

New Media ブース:向文君 / Wen-Chun Hsiang 作品 /  芸星芸術中心 /  Star Gallery, Taipei より出展

New Media ブース:向文君 / Wen-Chun Hsiang 作品
芸星芸術中心 / Star Gallery, Taipei より出展
GPSを使って都市の生活領域を美的に映し出した作品

ART TAIPEI FORUM 会場:誠品百貨店  Presentation by  Director of Taipei Art Long-sheng Shih, Economy research Cente

ART TAIPEI FORUM 会場:誠品百貨店
Presentation by Director of Taipei Art Long-sheng Shih, Economy research Center

ART TAIPEI 2013 では、同時並行で ART TAIPEI FORUM「亜洲価値 / ASIAN VALUE」と題した、密度の濃いフォーラムも開催されていました。本来このフォーラムへの参加には、3日間通しのチケットが必要なのですが、時間の都合上どうしても2日目しか出席できない旨をお伝えし、担当の方に特別に対応して頂きました(感謝)。

このフォーラムは、台北芸術産経研究室 (Taipei Art Economy Reserch Center) が主催となり、オランダのMaastrichit Universityや、台湾の国立師範大学、文化庁などが支援して行われていました。
トピックは、1日目は主にペーパーセッション、つまり学会の論文発表が行われたようですが、
( 詳しいプログラムはこちら  >>> )
私が拝聴した2日目は、ドイツ銀行の 国際アートプログラムの紹介を通じて、企業が取り組む現代アート支援の意味、価値についてのレクチャーの他、産経研究室 の今年の主要研究テーマであった、現代アートに関心のある層に向けた、新しいメディア ArtAppの開発報告や、都市における現代アート産業のインパクト、影響力について、ドイツ・カッセルのdOCUMENTA や カールスルーエのZKMへの調査取材の報告などが行われました。

なるほど!と思ったことは実に沢山あります。 一つにはArtAppの開発も、現代アートに興味を持っているユーザーに使いやすいサービスを提供して、代わりにきちんとしたデータを集め、マーケティングに活かそうとしている方針と実践があり、またメディアセンターであるZKMを事例にしたのにも、台湾のIT産業の強みを現代アート産業にもつなげようとする方針を確かに感じました。

3日目は、日本、香港、台湾のギャラリ-ディレクターによるパネルディスカッションが続いたようです。個々のトピックの深い内容に関しては、立派なカタログを頂いたので、後で詳しく拝見しようと(汗)。

ART TAIPEI FORUM  Presentation by Friedhelm Hütte, the Global head of Art program at  Deutsche Bank AG

ART TAIPEI FORUM
Presentation by Friedhelm Hütte, the head of Global Art Program,  Deutsche Bank AG

私は、ART OSAKA 事務局を担当している立場上、どうしても運営やプログラム構成に関心があります。
ART TAIPEI 2013 ではフェア本体でも、特別展として「森山大道の個展」が企画され、森山大道氏をはじめ、毎日複数のトークイベントも開催されていたのですが、それに加えて上記のART TAIPEI FORUMの内容です。
これだけのプロフェッショナルで、充実したプログラムを組める人材力、資金力には、正直、羨ましさを通りすぎて、ため息が出る程です。

ため息ついでに言うと、8日(金)夜には、フェア会場近くの5つ星ホテル W Hotel で行われたVIPパーティに、コレクターのSさんにお誘い頂き、同席させて頂きました。パーティは、着席式での台湾料理フルコースので、原住民の伝統楽器によるとっても現代的なライブ音楽も行われ、 はぁ=) 本当に素敵で贅沢な時間を楽しませて頂きました。

VIP  Dinner Party:W Hotel Taipei

VIP Dinner Party:W Hotel Taipei

(後半に続く)

text:宮本典子 / ART OSAKA フェアマネジャー

EMERGING Director’s Art Fair ULTRA 006 レポート

ULTRA06 会場の様子

ULTRA006 会場の様子

こちらのブログでは、はじめましてになります。山中と申します。
ART OSAKAでは、昨年今年と「ぐるりとギャラリー、大阪ツアー」を関西アートカレンダーの方々と一緒に企画させていただきまして、ご参加いただいたみなさまには大変お世話になりました。

私は、インディペンデント・キュレーターとして外部での展覧会やアートイベントの企画をおこなうことと平行して、大阪市此花区に「the three konohana」というギャラリーを運営しております。10月26日~11月4日に、東京・南青山のスパイラルにて開催されたアートフェア「EMERGING Director’s Art Fair ULTRA 006」(以下「ウルトラ」)の前期(10月26日~29日)に出展して参りまして、そのレポートをお送りいただきます。

ULTRA06 会場の様子

ULTRA006 会場の様子

「ウルトラ」は、タイトルの通り今年で6年目となる、現在国内で継続して開催されているアートフェアとしてはART OSAKA、アートフェア東京に次ぐ老舗アートフェアと呼べるものです。
この「ウルトラ」の特色は、ギャラリスト単位で出展するフェアです。一般的なアートフェアは基本的にギャラリー単位の出展となりますが、この「ウルトラ」はギャラリーのオーナーだけではなく、ギャラリーのスタッフでも個人で出展が可能というものです。

ウルトラ発起人 池内務氏

エマージング・ディレクターズ・アートフェア「ウルトラ」フェアマネージャー 池内務氏

この「ウルトラ」の発起人であり、フェアマネージャーの池内務さんです。(すいません、ちょっとピントが合っておりません・汗)
池内さんは、このアート業界ではお馴染みの、東京の老舗ギャラリー「レントゲンヴェルケ」の代表として、日本の現代アートを長年牽引してこられた日本を代表するギャラリストのお一人です。ART OSAKAにも、2004年と2006年から毎年出展されています。

「ウルトラ」の趣旨は、明確に『若手ギャラリストの育成』です。アート業界の活性化のためには、自分自身の利潤や名声だけではなく、後継者としての次世代のギャラリストをどんどん輩出していくこと。池内さんの「ウルトラ」設立の意図にはそれが明確にあり、現在もその目的は揺るいでいません。つまり、ビジネスとしてのギャラリストの重要な要素の一面を、アートフェアで鍛える場としての「ウルトラ」なのです。
これまでにも、「ウルトラ」を通過した多くの若手ギャラリストにも、海外のアートフェアに頻繁に出展するようになったり、独自の動きで国内外に通用するトップギャラリーに成長した方も多くおられます。いわば若手ギャラリストの登竜門として、この「ウルトラ」ははっきりと位置づけられています。

ULTRA06 会場の様子

ULTRA006 会場の様子

ULTRA06 オープニングレセプション

ULTRA006 オープニングレセプション

今年の「ウルトラ」、私は前期の出展で、開催前夜の台風接近や地震で少し心配はありましたが、初日のオープン当初から多くの方々がお越しになり、東京での「ウルトラ」の注目度および毎年恒例のイベントとしての定着度の高さを思い知らされました。初日のオープニングレセプションにも、コレクターの方々や業界関係者が多数詰め掛けて、閉店時間まで大いににぎわっておりました。前期の4日間でも5000人強の来場者、前後期トータルでも11000人以上の来場者があったそうです。

せっかくなので、私のブースも控えめにご紹介させていただきます(笑)。

展示ブース / 山中俊広  (the three konohana )

展示ブース / 山中俊広 (the three konohana )

私のギャラリーで9月10月に個展を開催した加賀城健さんと、同じ此花区のギャラリー梅香堂の取扱作家前谷康太郎さんの作品を、「ウルトラ」でご紹介いたしました。
向かって左側に、前谷さんが自然光をサンプリングしたミニマムな写真作品の新作シリーズ、右側は加賀城さんが染色した着物の反物などをコラボレーションして、壁面インスタレーション展示でおこないました。他のブースとも毛色が違う内容でしたので、足を留めてじっくりと見てくださる機会も多くありました。

ULTRA06 会場の様子

ULTRA006 会場の様子

お客さん目線からこの「ウルトラ」を見ますと、若いギャラリストが多いので出品している作家も比較的若手が多く、作品もリーズナブルなものが目立っていました。また、会場も南青山のランドマーク的な建物なので、アートにそれほど馴染みの少ない若いお客さんも多数お越しになられていて、アート作品を身近に感じてもらったり、初めての作品購入の場としては理想的なアートフェアという印象でした。もちろんコレクターの方々も、若手発掘の意識を持ってご覧になられていますし、「ウルトラ」は『若手による若手のため』のアートフェアとして、お客さんにもギャラリストにも浸透し定着しているアートフェアといえるでしょう。

少し補足としまして、「ウルトラ」後期の11月初旬には、スパイラルのスペースの一部で「+PLUS: THE ART FAIR 004」が同時開催され、こちらでは一般的なアートフェアスタイルで、ギャラリー出展によるアートフェアがありました。熟練したベテランの感性と若手のみずみずしい感性、両者のバランスが合ってこそ、日本のアートシーンは成熟と成長を深めていくものなのだと思います。

EMERGING Director’s Art Fair ULTRA / +PLUS: THE ART FAIR ホームページ:
http://systemultra.com/wp/

text:山中俊広/インディペンデント・キュレーター、the three konohana代表